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私60歳代

挿絵 531*418

60歳代の同窓会は少し趣きが違います。
親は他界、夫は退職、やっと待ちに待ったゆとりの人生が始まるのです。

1日中家にいる夫に代わって、妻たちは外へ外へと飛び出してまいります。
やれ、カラオケ、フラダンス、英会話、パソコン教室、海外旅行と、もうあれやこれやで忙しくなり、熟女のパワー全開といったところでしょうか。

ここでの話題はもっぱら孫自慢。
「娘の子が今度私立小学校へ上がってね。母さんお金貸してくれって」
孫にお金をやるのは究極の喜びだそうです。
そうそう、そういえば孫がなんたらというへんな歌が流行っておりました。
そんなに孫がかわいいのかどうか、私は全く経験がないので分かりません。
10年もたてば、お小遣いをやるだけのつながりになるのにまだ気づいておらず、せっせと舐めまわすようにかわいがっているのです。

そして“濡れ落ち葉”、“わしも族”といわれる夫の悪口に加え、新たに嫁への攻撃のゴングが鳴らされます。
「もう、うちの嫁の作る料理ときたら。そもそも包丁が使えないときてるのよねえ。心理学専攻とかなんとか偉そうなこと言っちゃって、いったいどんな教育を受けてきたんだか」

「そうそう、腹の立つのはうちのターちゃんをこき使ってる姿を見たときね。朝、ゴミ袋を出しているターちゃんを見て、そりゃもう情けなくて涙が出てきたわ」
シワのある眉間にますますシワをよせて訴えるのです。

「男女同権かなんだかやたらうるさくてね、やれ掃除は毎日交代でとか、料理は息子の番だとか言ってるの。たいした家事もできないくせに偉そうなのよねえ」
憎々しげに口をゆがめます。

「そうだそうだ」と姑たちの大合唱。

更新日:2009-02-06 20:05:51

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