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でも、わたしがちょっと咳払いすると、だれかが目配せをし、いよいよ始まるのです。

「新庄さんっていいわあ。社会でバリバリ働いて、お金は自分のためにだけ使って、恋愛はし放題で、もう新庄さんのような人生にあこがれちゃう!」

「そうよねえ、うるさい夫はいないし、わがままでどうしようもない子どももいないし、自由奔放、私たちの夢よね~」
いいわねえ、の大合唱が始まるのです。

そうです。私はこの自由をほしいがために、今まで独身でやってきたのです。
自分でいうのもなんですが、顔は上の下、頭脳もそこそこ、色気も同年齢の女には負けない自信があります。
過去に一度だけ結婚を考えた男性がおりましたが、マザコン臭が漂っており婚約は解消いたしました。
それから、何度かの恋愛経験を経たものの、結婚には至らなかったというのが正直なところです。

30歳代のころは言い寄って来る男性もたくさんおりました。
私は特に年下好みでもないのに、年上の女性にあこがれる若者が吐いて捨てるほど集まってきたものです。

「新庄さんとなら、どこまでもついていきます」
と、目をウルウルさせる美形のダンサーもいました。
「結婚してください」
と、私の甲斐性に頼る、どうしようもないこれまたイケメンの塾講師もいました。

こんな男たちと自分の人生をどうして共有できるでしょう。
私は私のためにだけに人生を全うしたいと考えていました。

更新日:2009-02-06 18:25:44

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