- 10 / 201 ページ
角笛が鳴った。
将軍ティジットを先頭に、軍隊が市街へ行進を始める。長い戦への旅路の始まりだ。
「ティジット様、お気をつけて!」
どこからか届いた部下の声に、ティジットが精悍に頷いた。
術士ながら、灰毛の馬に跨り、剣をも携えるティジット。比較的軽装備だが、内から滲み出るもので重騎兵をはるかに圧倒していた。
館の跳ね橋が速やかに上がり、軍隊が渡ると、門兵が敬礼をする。
その先では、兵の行く先を飾る為、篭いっぱいに色とりどりの花々を詰めた娘たちが待っていた。
軍馬が荒々しく、娘たちが撒いた花の絨毯の上を行く。
沿道には戦の行方を見守り、無事を祈ることしかできない老婆や女、子供たちも並び、想いを込めた一輪の花を差し出している。
家族の名を呼ぶ者もいる。
時間は無情に行き過ぎて、軍隊は勇ましくひづめを鳴らして小さくなっていった。
それを見送る娘たちが心配そうに眉根を寄せていた。
「ティジット様……少しおやつれになったんじゃ……」
将軍ティジットを先頭に、軍隊が市街へ行進を始める。長い戦への旅路の始まりだ。
「ティジット様、お気をつけて!」
どこからか届いた部下の声に、ティジットが精悍に頷いた。
術士ながら、灰毛の馬に跨り、剣をも携えるティジット。比較的軽装備だが、内から滲み出るもので重騎兵をはるかに圧倒していた。
館の跳ね橋が速やかに上がり、軍隊が渡ると、門兵が敬礼をする。
その先では、兵の行く先を飾る為、篭いっぱいに色とりどりの花々を詰めた娘たちが待っていた。
軍馬が荒々しく、娘たちが撒いた花の絨毯の上を行く。
沿道には戦の行方を見守り、無事を祈ることしかできない老婆や女、子供たちも並び、想いを込めた一輪の花を差し出している。
家族の名を呼ぶ者もいる。
時間は無情に行き過ぎて、軍隊は勇ましくひづめを鳴らして小さくなっていった。
それを見送る娘たちが心配そうに眉根を寄せていた。
「ティジット様……少しおやつれになったんじゃ……」
更新日:2013-08-02 08:45:34