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story 9 想い

- HARUTO side -

「オイ春人!!」

和樹が俺の名前を呼ぶ。

「・・・何だよ。朝からうるせぇな・・・・」

「唯ちゃん昨日泣いてたぞ。」

「は…?」

急な話に驚いた。
何だよ、それ。


「雨降ってたのに傘も持たずに泣いてたんだぞ。」

「・・・だから何だよ。」

「何ってお前が泣かしたんじゃねぇの?」

「は?」

「違うのか?
 ずっとお前の名前呼んでたから
 てっきり春人のせいだと思ったけど。」


・・・俺の名前を呼びながら泣いてた?


「どういうことだよ・・・」


意味が分からない。
別れたのが原因か・・・?
俺は唯のためを思ったんだ。
麗奈に告られたのは事実だけど。


唯は・・・俺のことなんか好きじゃなかった。
だけど傍にいさせてくれた。
嬉しかったけど
そんな優しさは俺にとって
辛いだけだった。

・・・唯にとってもそうだ。
石原たちの件でも散々苦しめてきたし
もう迷惑かけられないと思った。
だからやめた。
身を引いたんだ。


本当を言うと
唯にふられるのが怖かったんだと思う。
だから、自分から終わりにした。
それでいいと思った。
なのに・・・


「唯が泣いてたって本当かよ。」


名前を呼びながらって何だよ。
・・・俺のせいなのか?


「話聞こうと思ったらどっかいっちゃって
 今日も学校来てないらしい。」


分からない。
聞きたいことがありすぎる。
だけど・・・


「春人っ!」


「・・・麗奈」

更新日:2012-12-03 20:24:43

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