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第6話「関係ない」

「佐々木!」

ドアの前に立つ男子が、佐々木くんを呼ぶ。

「ん?」
「呼び出し。2組の女子」

女子、呼び出し。
それはもう、あれですよね。あれ。

「・・・沙羅、気になるんでしょ。すごい険しい顔してるよ」
『え』

・・・やだな私。
すぐ顔に出るんだもん。

『私ちょっと、トイレ行ってくる』

佐々木くんが女子に呼び出されてるところなんて見たくない。
教室に、いたくない。
屋上にでも行こうかな。



『んー、空がキレイだー!』

ぐっと背伸び。
すると、ガチャ。
ドアが開かれた。

「あの・・・私、純也くんのことが好きです!」

・・・え?
純也くんに告白ってまさか・・・
佐々木くん?!

「そ・・・っか」

うそ。最悪。
見たくないから、逃げたのに。

「・・・ごめん。俺、誰かを好きになるとか・・・するつもりないから」

・・・今・・・なんて言った?
恋をしない?
誰にも?

じゃあ・・・私も、綾も
この恋、叶えられないの?

そんなの・・・
何もしないまま、あきらめるってこと?

「・・・上村さん?」
『あ゛』
「・・・聞いてたんだ?」
『いや、なんか偶然居合わせちゃって!不可抗力ってゆーか!』
「うん、知ってる(笑)」

そう言いながら、軽く微笑んだ。

『・・・佐々木くん、好きな子作らないの?』
「あー・・・うん。そっか、聞いてたんだもんね」
『じゃあもし、恋したらどうするの?』
「・・・しないよ。してもすぐに消す」
『なんで?』
「・・・関係ないだろ?」

言い放ったその一言が、私の心を突き抜けた。

『・・・なにそれ』
「・・・っ」
『関係ないとか・・・最低。私の気持ちだって、なんも知らないくせに関係ないってなに?!』
「・・・上村さんだって知らないでしょ、俺の気持ち」
『知らないよ。知らないけど・・・私は、関係ないなんて思わない』

佐々木くんに、私だけが抱いてる感情。
一方通行で、向こうから恋心が向けられることはなくて。
そんなの
分かってた。
けど
“関係ない”の一言で打ち切れるほどの思いじゃない。

『関係なくないんだよ。大ありなんだよ。・・・恋、しようよ。それで私を好きになってよ』
「・・・上村さん?」
『私ばっか好きになっちゃったじゃん。佐々木くんのこと・・・!』

好きなんだよ。
大好きなんだよ。
叶わないからって消せないんだよ。

・・・助けてよ
苦しいよ。

「俺を・・・好き?上村さんが?」
『・・・いいよもう。叶うなんて希望はなかったけど・・・しっかり受け止めてはくれると思ってたのにっ』

泣きながら、怒りながら、私は屋上を飛び出した。

「待っ・・・」

引きとめようとした手を引いてたなんて
知るはずもなかったんだ。

もちろん
佐々木くんの本当の気持ちも。

更新日:2012-10-13 15:48:21

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