プロローグ
『面!』
〔カンッ〕
一本先取。
相手の面がはずれた。
『あ、すいません。大丈夫ですか?』
しゃがんでる相手の男の子に、落ちた面を差し出す。
「ありがと」
そう顔を上げて、微笑んだ。
そのキミの笑顔は
私の鼓動を加速させた。
「お疲れ沙羅ー!相変わらず強いねー。相手、剣道部のエースだよ?」
親友の鳴海 綾が駆け寄ってきた。
『・・・うん』
初対面だし
名前も性格も知らないし
他校だし
たまたま遭遇しただけだけど
“鼓動”って証明音が、体中に響いてる。
上村 沙羅(小6)が
初めて恋をした瞬間でした。
更新日:2012-10-17 18:18:29