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その後を追いかけるように付いて行くと先に着いていた美欧が正門前で佇んでいた。何だろうと思い、美欧の視線を辿って行くと様々な彫刻や美しい細工の施された外壁が見えた。
「おー。すごいな、これ」
「うん、こんな綺麗なの初めて見たよ」
美欧の横に立ってそう感嘆の声を漏らすと、美欧も応えて頷いた。
「・・・でさ、中には入らないの?」
「あっ!そうだった。これ見てたらすっかり忘れてた」
うっかりしてたようで「てへへ」と照れたような顔をした。
「なら、一緒に入ってみる?」
「うんっ」
美欧と一緒に聖堂の中へと足を入れると、内部はシンプルな作りで壁は外と同じように真っ白に塗られ、両サイドにはステンドグラスが幾枚にも嵌めれていた。
「うわ~、あの窓きれ~」
中に入るなり、美欧は近くのステンドグラスへと駆けて行った。自分もその後をゆっくり付いて行った。
「ステンドグラスを見るの初めて?」
「これってステンドグラスって言うんだ。初めて見た」
物珍しそうに目を輝かせて美欧は手でペタペタ触りながらそう答えた。
「全部違う絵なんだね」
「みたいだね」
「あっ、あっちのもきれ~」
そう言って今度はそちらの方へと駆けて行った。何というか、相変わらず美欧ったら気に入った物があるとこれしか見えなくなってしまう癖がある。
ま、それが美欧らしさだからあまり気にはしてないけど。
「天都、こっち来て~。すごいのがあるよ~」
そう言って美欧はこちらに手招きするのだった。その美欧のいる入り口から奥のほうに言ってみると一際大きいステンドグラスがあった。恐らく、これはアインハザードを象ったステンドグラスだろう。となると、先ほどのはエヴァらの四神の絵だろうか。
「ね、これすごいでしょ」
「うん、だね」
美欧と一緒にそのステンドグラスを見つめながらそう答えた。
「ねっ、天都」
「ん?」
何だろうと思い視線を美欧の方へと移した。
「私達もこんな綺麗な場所で式挙げてみたいね」
「だな」
確かに式は思い出に残したい物だから挙げるとしたらこんな場所で挙げたいと思う。
「そだね、いつか挙げたいね」
「うんっ」
元気よく頷いて腕に抱きついてきた。
「私達も女将さん達やアキさん達みたいないい夫婦になれるかな~」
「きっとなれるよ」
「ホント!?」
そう答えると美欧は目を丸くさせた。
「美欧はいい子だからきっといい奥さんになれるよ」
そう言って美欧の頭を撫でた。
「あ・・・、僕がダメだとダメか」
「そんな事ないよ!天都はダメじゃないもん。優しいし、何でもできるから、きっと、ううん絶対いい旦那さんになるよ」
思い返したようにそう言うと美欧は押し倒さんとばかりの勢いでそう言ってきた。
「なら、いい夫婦になれるじゃないかな。ね?」
「あっ・・・う、うんっ」
言い聞かすようにそう言うと美欧はコクコクと頷き返した。
「じゃ、じゃあさ。せ、せっかく聖堂に来たんだから・・・ちょっと練習していいかな?」
恥ずかしそうにしながらそう言ってきた。
「え?練習って・・・指輪もないし、牧師もいないから・・・って」
そう言っていて美欧の言いたい事にはっと気付いた。他にする事と言えばアレしかない。ま、美欧らしいと言えば美欧らしい発想だな。
「う~、ダメかにゃ~」
「いいよ。折角来たんだからちょっとくらいは練習しよっか」
不安げに見上げてくる美欧の頭を撫でながらそう答えた。美欧にあんな顔をされるとさすがに断れない。
「天都、ありがと~」
それに美欧は嬉しげにしがみ付いてくるのだった。
「それじゃ、しよっか」
「うんっ」
そう言って美欧と向かい合うのように位置を変えた。
「にゃ、何回もキスしてるはずなのに緊張してきた」
「誰もいないのに緊張しちゃうよね」
お互い向き合いながらそう言い合って照れあった。さすがにこんな場所だから照れてしまうのは仕方がないのかもしれない。
「それじゃ、するよ」
「う、うん」
美欧の肩に手を乗せるとびくっと身体を震わせた。美欧もかなり緊張しているようだ。
そのままいつもしてようにそっと美欧の唇にキスをしてあげた。
「にゃ・・・なんだか初めてキスしたような気分だにゃ」
恥ずかしそうに口を手で隠しながらそう言うのだった。と、急にこちらに抱きついてきた。突然な事だったので少し驚いたが、何も言わずにそのままにさせてあげた。きっと、美欧のことだから何か訳があるんだろ。
しばらくしがみついていたら美欧の方から離れた。
「美欧、落ち着いた?」
美欧に言葉をかけるとこくりと頷き返した。
「さっきはどうしたの?」
「えとね、天都にキスされたら急にドキドキしてきて、それだけで頭の中がいっぱいになって気がついたら抱きついてたの。自分で何を言ってる分からないけど、そんな感じだったの」
「そっか」
美欧の頭を撫でながらそう返した。

更新日:2012-09-26 18:55:30

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