- 25 / 93 ページ
3日目
「うーん・・・あ・・もう朝か」
朝の日差しを受けて寝惚けなまこを擦りながら上体を起こした。胸元ではまだ美欧がすやすやと寝息を立てていた。一応、布団は二つ敷かれているのだが、美欧はいつも当然のように人の上に乗ってくる。
「みーお、朝だよ」
優しく頬を撫でると美欧は「みゃ・・」と猫のように身じろぎをした。
「あ、天都、おはよ~」
視線が合うとにこっとこちらに微笑んでくるのだった。そして、そのまま目を閉じてこちらに顔を突き出してきた。いつもこうやって美欧のほうからおねだりしてくる。
美欧の場合、二人だけになると甘えてくる。まあ普段からも甘えてはくるのだが今の風に一段と強くなる傾向がある。
という事で、いつも朝のアレをしてあげると「にゃー♪」と嬉しげに声を出す。いつもしているとは言え、多少なりに恥ずかしい物を感じが、それで美欧が喜ぶのだから安い物か。
「昨日は助けて頂いて有り難うございました」
「いいよ~、悪いのはあっちなんだし」
「そだな、困った時はお互い様だよ」
部屋に入ってくるなりお辞儀をしてくる雪乃子姫に二人でそう言葉をかけた。
「もし、お暇があれば「象牙の塔」にでも行かれてみては?」
「にゃ?ぞうげのとう?」
「ええ、ほらあそこに見える塔ですよ」
雪乃子姫が指差す方を見ると遠くの方に天高くそびえる塔がうっすらと見えた。
「うわ~、大っきい~。あんな所にこんなのあったんだ~」
「あそこは元々、魔道師の修練の場として立てられたのですが、何らかのせいで魔界と繋がってしまったのです。もちろん、今はその道は封鎖されてますが、まだ上のほうにはモンスターが徘徊しています。なので、今では熟練者の修行の場となっております。天都さん達なら行けるだろうと思いまして」
「天都、その象牙の塔に後で行こうよっ。なんか楽しそう」
「では、後ほど行ってみます」
美欧も行く気満々だし、一度行ってみてもいいかもしれない。
「はい、ではその時は塔まで案内させてもらいますね」
そう言うと「ごゆっくり」と言い残して雪乃子姫は部屋を後にした。
朝食を済ませ、雪乃子姫の案内で村の北西に位置する象牙の塔に足を向けてみた。目の前で見てみるとその塔がどれほど高いのかは実感させられる。
まさに天高く伸びるハベルの塔を見ているような感覚だった。
「うわ~、大っきい~。てっぺんが全然見えないよ」
それを目の当たりにして見上げながら美欧はわ~っと感嘆の声を上げた。
「ありがとうございます。わざわざ案内してもらって」
「いえいえ。では、私は旅館の方へと戻らせてもらいますね」
「あ、はい」
こちらに一礼すると雪乃子姫は村の方へと歩き出した。
「ね、天都、中に入ろ?ここじゃ寒いよ」
先ほどまで塔を見ていた美欧がこちら腕を引っ張ってきた。やっぱり猫だけあって寒いのは苦手なのかな。
「そだな」
象牙の塔に中へと入ってみると中は仕切りがあまりなくとても広々としていて、一面が白い大理石な感じの壁や床でできており魔法の修練場であるのを示すかのように厳かで神聖な雰囲気が辺りを覆っていた。
「魔物がいそうな雰囲気じゃないね。ここ」
「あー・・・確かに」
美欧の言うとおり魔物のまの字も似つかわしくない所に感じるのだが、どこにいるのだろうか。とりあえず上に上ってみないと分かりそうもないかも。
「あ、あっちに階段があるよ」
フロアに中央に位置するように石造りの螺旋階段があった。階段にしてはけっこう大きい方かも。
「上に上ってみる?」
「うんっ」
それに美欧は元気よく答えた。
螺旋階段を2階3階と登り、そして4階へと上った所で今までのフロアの雰囲気が一変した。先ほどまで神秘的なものとは程遠い混沌とした感じに変わった。これ程までに様変わりするとは思っていなかった。
「ここからがそんな感じっぽいね」
「ああ、そだな」
と、背後で殺気がするのを感じ、振り向きざまに愛剣の『風龍』で袈裟懸けに斬りつけた。その何かは真っ二つにされ、ズズンと重い音を立てて崩れ落ちた。
「何それ?鉄の塊?変なのいるんだね」
「多分、ゴーレムの類だと思うけど」
美欧の問いにその崩れ落ちたアイアンゴーレムをまじまじと見ながらそう答えた。
「まだ上がありそうだけど、どうする?行ってみる?」
「うん、行く行く」
そう言うとタタタと前を駆けていったが
「にゃ~、お化け~」
すぐさま戻ってきてこちらにひしっとくっ付いてきた。その後からは剣を持った浮遊する鎧が美欧を追いかけてこちらにゆっくりと向かってきた。その後ろには先ほど同じ鉄のゴーレムも混じっている。確かに鎧の方は怖いかもな、美欧が逃げるわけだ。
「『白牙』」
白い斬撃を放つとあっけなく崩れ落ちた。小技でいけるならさほど強いわけでもなさそうだな。
朝の日差しを受けて寝惚けなまこを擦りながら上体を起こした。胸元ではまだ美欧がすやすやと寝息を立てていた。一応、布団は二つ敷かれているのだが、美欧はいつも当然のように人の上に乗ってくる。
「みーお、朝だよ」
優しく頬を撫でると美欧は「みゃ・・」と猫のように身じろぎをした。
「あ、天都、おはよ~」
視線が合うとにこっとこちらに微笑んでくるのだった。そして、そのまま目を閉じてこちらに顔を突き出してきた。いつもこうやって美欧のほうからおねだりしてくる。
美欧の場合、二人だけになると甘えてくる。まあ普段からも甘えてはくるのだが今の風に一段と強くなる傾向がある。
という事で、いつも朝のアレをしてあげると「にゃー♪」と嬉しげに声を出す。いつもしているとは言え、多少なりに恥ずかしい物を感じが、それで美欧が喜ぶのだから安い物か。
「昨日は助けて頂いて有り難うございました」
「いいよ~、悪いのはあっちなんだし」
「そだな、困った時はお互い様だよ」
部屋に入ってくるなりお辞儀をしてくる雪乃子姫に二人でそう言葉をかけた。
「もし、お暇があれば「象牙の塔」にでも行かれてみては?」
「にゃ?ぞうげのとう?」
「ええ、ほらあそこに見える塔ですよ」
雪乃子姫が指差す方を見ると遠くの方に天高くそびえる塔がうっすらと見えた。
「うわ~、大っきい~。あんな所にこんなのあったんだ~」
「あそこは元々、魔道師の修練の場として立てられたのですが、何らかのせいで魔界と繋がってしまったのです。もちろん、今はその道は封鎖されてますが、まだ上のほうにはモンスターが徘徊しています。なので、今では熟練者の修行の場となっております。天都さん達なら行けるだろうと思いまして」
「天都、その象牙の塔に後で行こうよっ。なんか楽しそう」
「では、後ほど行ってみます」
美欧も行く気満々だし、一度行ってみてもいいかもしれない。
「はい、ではその時は塔まで案内させてもらいますね」
そう言うと「ごゆっくり」と言い残して雪乃子姫は部屋を後にした。
朝食を済ませ、雪乃子姫の案内で村の北西に位置する象牙の塔に足を向けてみた。目の前で見てみるとその塔がどれほど高いのかは実感させられる。
まさに天高く伸びるハベルの塔を見ているような感覚だった。
「うわ~、大っきい~。てっぺんが全然見えないよ」
それを目の当たりにして見上げながら美欧はわ~っと感嘆の声を上げた。
「ありがとうございます。わざわざ案内してもらって」
「いえいえ。では、私は旅館の方へと戻らせてもらいますね」
「あ、はい」
こちらに一礼すると雪乃子姫は村の方へと歩き出した。
「ね、天都、中に入ろ?ここじゃ寒いよ」
先ほどまで塔を見ていた美欧がこちら腕を引っ張ってきた。やっぱり猫だけあって寒いのは苦手なのかな。
「そだな」
象牙の塔に中へと入ってみると中は仕切りがあまりなくとても広々としていて、一面が白い大理石な感じの壁や床でできており魔法の修練場であるのを示すかのように厳かで神聖な雰囲気が辺りを覆っていた。
「魔物がいそうな雰囲気じゃないね。ここ」
「あー・・・確かに」
美欧の言うとおり魔物のまの字も似つかわしくない所に感じるのだが、どこにいるのだろうか。とりあえず上に上ってみないと分かりそうもないかも。
「あ、あっちに階段があるよ」
フロアに中央に位置するように石造りの螺旋階段があった。階段にしてはけっこう大きい方かも。
「上に上ってみる?」
「うんっ」
それに美欧は元気よく答えた。
螺旋階段を2階3階と登り、そして4階へと上った所で今までのフロアの雰囲気が一変した。先ほどまで神秘的なものとは程遠い混沌とした感じに変わった。これ程までに様変わりするとは思っていなかった。
「ここからがそんな感じっぽいね」
「ああ、そだな」
と、背後で殺気がするのを感じ、振り向きざまに愛剣の『風龍』で袈裟懸けに斬りつけた。その何かは真っ二つにされ、ズズンと重い音を立てて崩れ落ちた。
「何それ?鉄の塊?変なのいるんだね」
「多分、ゴーレムの類だと思うけど」
美欧の問いにその崩れ落ちたアイアンゴーレムをまじまじと見ながらそう答えた。
「まだ上がありそうだけど、どうする?行ってみる?」
「うん、行く行く」
そう言うとタタタと前を駆けていったが
「にゃ~、お化け~」
すぐさま戻ってきてこちらにひしっとくっ付いてきた。その後からは剣を持った浮遊する鎧が美欧を追いかけてこちらにゆっくりと向かってきた。その後ろには先ほど同じ鉄のゴーレムも混じっている。確かに鎧の方は怖いかもな、美欧が逃げるわけだ。
「『白牙』」
白い斬撃を放つとあっけなく崩れ落ちた。小技でいけるならさほど強いわけでもなさそうだな。
更新日:2012-09-22 19:11:00