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ひとり

翌朝、テミンが目覚めると寮には人の気配がなく、寝ていたソファーの隣のテーブルに置き手紙が残されていた。

〈テミンへ
今日は休みにしてもらったからゆっくり休んでね。
朝ごはんはテーブルの上に置いてあるし、お昼は冷蔵庫にカレーがあるよ。

多分16時過ぎにミノが帰るけど、その前に何かあったら携帯に連絡ください。

オニュ〉

まだ鈍痛が残る頭を起こして手紙を読むと、テミンは落ち込んだ様子で溜め息をつく。

置き手紙を残して4人が仕事に行ってしまったのは今日が初めてではない。
置いていかれるのには慣れている。

一人だけ成人していないせいで仕事の打ち上げのメンバーから外されてしまったり、年齢制限のある映画を一緒に見に行けなかったり。
前日に体調が悪いと翌朝は起こしもせずに4人で出かけてしまう。

(どうしていつも置いていかれるんだろう。あんなにヒョン達は優しいのに。何で僕を置いて先に行っちゃうの…?)

テミンが一番嫌いなことがある。
独りになることだ。

それを知らず、体調が悪い時は側にいると気を遣ってしまうからと、オニュは敢えてテミンを独りにすることが多かった。
何年も一緒にいて何もかも分かっているようで、意外と知らないこともある。

幼い頃、テミンは入院中に検査の数値が悪くなるとよく個室に移された。
体調が悪い時に人気のない部屋に独りにされることほど不安なことはない。
母が来れない日は、一日中その不安が続く。

だから絶対に独りにはなりたくないのに、また置いていかれてしまった。


きっと行ったら怒られるけれど、独りで待つよりはましだ。

テミンはキボムが用意した朝食を一口食べて冷蔵庫に入れると、簡単に身支度を済ませて寮をあとにした。


更新日:2012-11-09 16:41:26

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君と過ごした最後の夏 SHINee Minho*Taemin