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一夜の恋。 4
結果的に、当麻の足はcafe free&highに向くから、潔さは皆無だろう。
腕時計に目を落とせばラストオーダーも間近。
流石に この時間には店も落ち着きを取り戻しているも、当麻が入店する様子は無い。
(やりたくもねぇ残業 片付けて、忘年会ポカして、時間ズラしてココまで
来たってのに、店に入る度胸がねぇとか、ど~したよ俺…)
柄にも無く弱腰。
遠巻きに出入り口の様子を伺う様は、さながらストーカーであると自負するも改める事が出来ないのは、一夜子に会う恐怖が先行しての事だ。
(会いたいのに…声が聞きたいのに…
こんな俺は一夜子に嫌われてるンぢゃねぇかと…ソレを確認するのが怖い)
自己発信の欲求を満たすのは容易い。
然し、恋人がいる事を仄めかされたにも関わらず、自分は三浦と良い仲であるにも関わらず、どの面を下げて一夜子に顔を出すのか?と言う話。
突っ込み所が満載である事など、分かりきっているのだ。
そうこう考え巡らせる中、カランコロン…とカウベルが鳴る。
その音に当麻が入り口を伺い見やれば、そこには久し振りにも思える意中の姿。
(一夜子!)
心中 叫ぼうと、金魚の様にパクパクと口が動くばかりで声にならない。
(アリャ?帰るのか?)
普段なら閉店作業までして行く一夜子だが、ラストオーダーも今暫く時間があると言うのに、今日は早々の帰宅である様子。
いつも通り、長いマフラーを首にグルグルと巻き付け、小さな肩を更に竦め、冬の夜道を駅へと歩く。
(チャンス!!)
車は既に近隣にスタンバイ済み。
送るを口実に、車内で少しでも話が出来れば願っても無い。
ラブレターを渡す前の女子中学生の如く豁然と目を光らせる寸暇、一夜子の隣にスーツ姿の男がタッ!と駆け込む。
「ひよチャン!」
「!?」
呼び止められ 一夜子が足を止めると同時、当麻の血圧はザァァァ…っと下がる。
(カレシ!?)
ならば、最悪のタイミングに遭遇した事になる。
ガックリと項垂れる寸暇、2人の会話が聞こえる。
「今日は早いんだね?今 丁度、コーヒー飲みに着たトコ何だけど。
ひよチャンが帰るなら送るよ。近くに車停めてあるから」
「いえ、結構です。家はココから近いですし。
ラストオーダー迄は まだ時間がありますから、是非 休んでって下さい」
「もぅ遅いし、危ないから やっぱり送るよ」
「いえ、あの…」
会話からして、一夜子が随分と困窮している様に聞こえる。
コレが当麻の勝手な妄想で無ければ、あの男は一夜子の恋人では無い。
ならば黙ってはいられない。次の行動を考えるよりも前に、当麻は駆け出す。
「一夜子!」
聞き覚えある声に、一夜子は我に返る勢いで振り返る。
「当麻…」
駆け付けるなり、当麻は幾分か低い位置にある男を軽く見下ろし、目を細める。
結果的に、当麻の足はcafe free&highに向くから、潔さは皆無だろう。
腕時計に目を落とせばラストオーダーも間近。
流石に この時間には店も落ち着きを取り戻しているも、当麻が入店する様子は無い。
(やりたくもねぇ残業 片付けて、忘年会ポカして、時間ズラしてココまで
来たってのに、店に入る度胸がねぇとか、ど~したよ俺…)
柄にも無く弱腰。
遠巻きに出入り口の様子を伺う様は、さながらストーカーであると自負するも改める事が出来ないのは、一夜子に会う恐怖が先行しての事だ。
(会いたいのに…声が聞きたいのに…
こんな俺は一夜子に嫌われてるンぢゃねぇかと…ソレを確認するのが怖い)
自己発信の欲求を満たすのは容易い。
然し、恋人がいる事を仄めかされたにも関わらず、自分は三浦と良い仲であるにも関わらず、どの面を下げて一夜子に顔を出すのか?と言う話。
突っ込み所が満載である事など、分かりきっているのだ。
そうこう考え巡らせる中、カランコロン…とカウベルが鳴る。
その音に当麻が入り口を伺い見やれば、そこには久し振りにも思える意中の姿。
(一夜子!)
心中 叫ぼうと、金魚の様にパクパクと口が動くばかりで声にならない。
(アリャ?帰るのか?)
普段なら閉店作業までして行く一夜子だが、ラストオーダーも今暫く時間があると言うのに、今日は早々の帰宅である様子。
いつも通り、長いマフラーを首にグルグルと巻き付け、小さな肩を更に竦め、冬の夜道を駅へと歩く。
(チャンス!!)
車は既に近隣にスタンバイ済み。
送るを口実に、車内で少しでも話が出来れば願っても無い。
ラブレターを渡す前の女子中学生の如く豁然と目を光らせる寸暇、一夜子の隣にスーツ姿の男がタッ!と駆け込む。
「ひよチャン!」
「!?」
呼び止められ 一夜子が足を止めると同時、当麻の血圧はザァァァ…っと下がる。
(カレシ!?)
ならば、最悪のタイミングに遭遇した事になる。
ガックリと項垂れる寸暇、2人の会話が聞こえる。
「今日は早いんだね?今 丁度、コーヒー飲みに着たトコ何だけど。
ひよチャンが帰るなら送るよ。近くに車停めてあるから」
「いえ、結構です。家はココから近いですし。
ラストオーダー迄は まだ時間がありますから、是非 休んでって下さい」
「もぅ遅いし、危ないから やっぱり送るよ」
「いえ、あの…」
会話からして、一夜子が随分と困窮している様に聞こえる。
コレが当麻の勝手な妄想で無ければ、あの男は一夜子の恋人では無い。
ならば黙ってはいられない。次の行動を考えるよりも前に、当麻は駆け出す。
「一夜子!」
聞き覚えある声に、一夜子は我に返る勢いで振り返る。
「当麻…」
駆け付けるなり、当麻は幾分か低い位置にある男を軽く見下ろし、目を細める。
更新日:2012-11-08 22:06:13