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あったかい場所であって欲しい

今から数年前、あたしは小学六年生でした。自我の確立にもがき苦しみ、日々生き急いでいたあたしの心の支えは転校して以来できた親友と、ネット上の歳上のおともだち。そのふたつの存在に、大きな力をもらっていたのです。実際にそばにいてくれた親友には、多大なる迷惑をかけました。毎日毎日ノイローゼちっくなことをふっかけ、しまいには八つ当たりするあたしの顔を、親友は何も言わずただ澄んだ瞳で心配そうに覗き込んでいました。その瞳があまりにまっすぐで申し訳なく、また、心の拠り所となっていたあの頃。今のあたしがあるのは、親友あってのことです。

当時、とあるSNSサイトにのめり込んでいたあたしは、学校から帰るなりランドセルを放り投げて、すぐさまパソコンの電源をつけそのサイトにログインすることが日課でした。小説を更新したり、ネット上の友達に愚痴を聞いてもらったりふざけあったりして、日頃のうさばらしをしていたのです。その頃のネットは、平和だった。とても楽しかった。ですが、今はどうでしょう?かれこれネット歴六年程度のあたしは、六年前から今までのネット世界の変容ぶりを身にしみて感じています。

あれから四年の月日が経ち、十二歳だったあたしは十六歳になり、歳上のネット友達はそれなりに歳を重ねいまでは社会人や大学生になっていることでしょう。すっかり音沙汰ありません。そのよき出会いを忘れられず、まだあたしは高校生ということもあり、こうしてネット離れすることなく電子の世界をさまよっていますが。なんと、まあ、ひどい人間がはびこっていることでしょう。ネットマナーも知らず、人の心も知らずといったようなネット利用者が、時としてあたしの心を傷つけます。傷つけられるのに麻痺して、なんにも感じなくなって、あたしもたまに、毒を吐いたりします。これは非常に危ないサインです。正気に戻ったあたしは声高に伝えたい。
液晶画面の向こうには、ちゃんとした人間がいて、そのひとの意思にともない会話が成り立つのだということを。

更新日:2012-12-21 21:52:21

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