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‡第2章:血ぬられた決意‡

あの日……城を追われてからちょうど10年。私達はヨンナさんとマミヤさんに助けられて生きてきた。
セラは家事は手慣れていたが、私はやった事も見たこともなかったのだ。
ヨンナさんとマミヤさんの職業である、農業も同じく。
着たドレスは新品同様に皺無く、清潔になって、目にするのが当たり前。野菜は加工され、料理となって出てくるのが当たり前。
こんな戦の激しい時代だから、剣を習うのは必要だったけれど、普通の知識は必要とされなかった。
だから、私は、ヨンナさん、マミヤさん、時々セラに助けられながら、それらを全て1から習得した。
「サラ、おはよう。こっちのにんじん、切ってちょうだい。」
「はい。」
こんなやりとりにも、もう馴れた。



「「「「ごちそうさまでした。」」」」
朝食後。
「サラ、ヨンナさん、マミヤさん、少し話がある。」
唐突にセラが切り出した。
「情報屋から仕入れた情報だが、メリュヒ国に敵対意識を持った勢力の集まりがあるらしい。ヤームと彼等は名乗っているらしいが、発足してからもう5年経つという。しかも、当初より確実に人数が増えているらしい。勿論、外部に、
自分達はメリュヒ国に敵対意識を持っている
などとは言っていない。」
だいたい、セラがそこまで話したところで、話が見えてきた。
「そこに入るのね?」
「ああ。」
私はセラが頷いた瞬間、嬉しくてどうにかなりそうだった。
この10年間、何も出来ずに耐えてきたのだ。フュリシュル国を倒し、フュリシュル国を罵倒し続ける、メリュヒ国の下で。
………私の、父様と母様を殺した、国の下で……!!

更新日:2014-02-21 21:38:00

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