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あなた・・・愛してる

「出ようか・・・」
「えぇ  もう時間なのね」

「駅に送っていくよ」
会計を済ませて、近付いてくる佐伯の表情を見つめながら・・何かを決心したように、雪乃の口からは、思いがけない言葉が発せられた。。

「あなた・・・ここでいいわ」

「どうして?」
佐伯は、不思議そうに雪乃の顔を覗き込んだ。。

「私ね・・ ひとりで行くわ  見送られてしまうと・・・きっと、泣いてしまうと思うの」

「離れてしまうまで、君と一分でも長く居たい・・」
「私・・・泣き虫だから、新幹線から降りてしまいそうで・・あなたのところに戻ってきてしまう」

「そうか・・ 寂しいけど・・君の言う通りにするよ」
「ありがとう~あなた」

「雪乃は、荷物を佐伯の車から取り出し・・佐伯に、にっこりとお辞儀をすると「愛してるわ・・とっても」その言葉を残し、真っ直ぐ駅に向かって歩いてゆく。。


その姿を眺めながら、置いてきぼりにされた今、何をするべきか少しだけ何も考えられない状態に自分自身驚いた。。放心状態のような無の感じだ。。

「君は強いな・・・」
そうこころで想いながら・・佐伯は、少しだけ笑った。。


姿が、見えなくなるまで・・じっと身体をそのままで様子を伺いながら見守る。。
佐伯は、発車するまでの時間まで・・ここで待っていよう・・
そう決心をして車の中に待機した。。

運転席に腰を下ろし、昨日と今日の雪乃の姿を思い出していた。。
雪乃の笑顔・・・
そして、悲しそうな表情
ぷっと、頬を膨らませて怒った振りをして口元を尖らせた顔・・
少女のように無邪気で、本当に可愛い。。。^^

佐伯は時計を見た。。

そろそろ・・・だな

もう・・
乗り始めたんだろうな

「雪乃・・ また、逢おう」
こころの中で、雪乃に言葉を贈った。。

「あなた・・・楽しかったわ  あなたと一緒の時間。。私の大事なあなた・・・」

君の声が、こころに響いた気がした・・・


更新日:2012-08-17 18:46:35

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愛のかたち  ~あなたとの時間~