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第六話

問 以下の英文を日本語にしなさい
『I enjoyed playing soccer.』


姫路瑞樹・伊藤正宗の答え
『『私はサッカーをするのを楽しんだ』』

教師のコメント
正解です。伊藤君が今回はルー語を使わなくてよかったです。


土屋康太の答え
『Iはplaying soccerをenjoyedした』

教師のコメント
今度は君がやりましたか。そこまで出ているのなら後はできるはずです。


吉井明久の答え
『あい えんじょいど ぷれいんぐ さっかー』

教師のコメント
確かに日本語にしろとはありますが・・・。
中学レベルの問題なので土屋君もきっちり答えましょう。






「騙されたぁっ!」

 殴られたかのようにボロボロになった明久が戻ってきた。

 起こることを警戒しても騙されるとは、流石(?)観察処分者だ。

 ボロボロの明久に向けて、雄二は言い放った。

「やはりそうきたか」

 平然と言った。当然のことと分かっていたようだ。

「やはりって何だよ、使者への暴行は予想通りだったんじゃないか!」

「それ位予想できないで、代表が務まる訳ないだろ」

「少しは悪びれろよ!!」

 それは絶対ないな。一年間で学んだはずだ。

「吉井君、大丈夫ですか?」

 姫路が明久に駆け寄った。明久はうれしそうにしていた。

「吉井、本当に大丈夫?」

 負けじと島田が駆け寄った。こういうのは珍しいな。

「平気だよ、心配してくれてありがとう」

「そう、良かった・・・。ウチが殴る余地は、まだあるんだ・・・」

「ああっ! もうダメ! 死にそう!」

 ああ、島田もそういう奴だった・・・。ツンデレの反対、デレツン?

「そんなことより、今からミーティング行うぞ」


 そんなことで、一同は購買へ向かった。ムッツリーニは頬をさすりながら歩いていたが、まだ隠せるつもりらしい。

 移動中、明久・島田・ムッツリーニが何か会話していた。いろいろ聞いていたが、ムッツリーニがドイツ語を知っていたことにびっくりした。しかもその意味が・・・よく性格に出ているなと思った。

「明久、今日くらいはまともな飯食えよ?」

 雄二が明久に告げた。明久の食事は人間のものとは思えないような食生活。飼い犬や飼い猫のほうがまだいいものを食べているくらいだ。

「そう思うのなら、パンでもおごってくれると嬉しいな」

 それくらいはいくらなんでも何とかならないか?

「吉井君ってお昼食べない人なんですか?」

 まぁ姫路が事情を知るわけがない。

「いや、一応食べてるよ?」

「お前の主食は水と塩だろ?」

「砂糖だって食べてるよ!」

 いや、大して変わらんだろ。

「あの、吉井君。水と塩と砂糖って食べるって言いませんよ・・・」

「舐める、が表現として正解じゃろうな」

「いや、それもそうだが、それ以前に食生活を改めるように言ってやれよ」

「ま、飯代まで遊びに使い込むお前が悪いよな」

「し、仕送りが少ないんだよ!」

 それだけじゃなくて、8割は無駄に使っているだろ。

 趣味にかける思いは・・・・分からんでもないが。

「・・・・・・あの、良かったら私がお弁当作って来ましょうか?」

「ゑ?」

 明久、発音がおかしいぞ。「え」と、驚いたのだろうが・・・・

「本当にいいの? 僕、塩と砂糖以外のものを食べるのなんて久しぶりだよ!」

「はい。明日のお昼で良ければ」

「良かったじゃないか明久。夢にまでみた手作り弁当だぞ?」

「うん!」

 喜びが素直すぎるな。まぁそれだけうれしだろうな。

「・・・・・・ふーん。瑞希って随分優しいんだね。吉井にだけ作ってくるなんて」

 島田は面白くなさそうだな。この二人はライバル確定かな?

「よし、じゃあ今日のところは俺がおごってやるよ」

 実は今回がこれで47回目。未だ返してもらってもいないが、まぁ明日は戦争だからいいや。

「いいの!? ありがとう!」

「ああ、前どおり、パン粉でいいな」

「うん、全然いいよ!」


   『パン粉   100g 20円 』


「こんなメニュー、あったんですね・・・・」

 どうやら姫路はこれを初めてみたらしい。

「ジャムはタダだったよね」

「ああ、どんどんかけるといい」

 明久はここぞとばかりにたくさんかけていった。

 明久は全然出費に困らない額だからいい。ちなみに前に罰ゲームで雄二に昼飯をおごったときは、容赦なく千円越えの高級学食をおごらされた。

 そして、屋上で打倒Dクラスの作戦を聞いた。思っていたより単純なものだった。

更新日:2012-08-01 15:46:51

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