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第四話
第四問
問 空欄に入る言葉を答えなさい
東大寺法華堂や法隆寺中門に安置されている二体の像は○○○○像である。
姫路瑞樹の答え
『金剛力士』像
教師のコメント
正解です。運慶快慶によって作られた像で、ほかにも京都・奈良を中心に全国のお寺にあります。『阿吽の呼吸』という言葉もできました。
吉井明久の答え
『超コワイ』像
教師のコメント
運慶快慶の作品は金額に換算できないほど貴重な一品です。
その言い方はやめましょう。
伊藤正宗の答え
『金剛番長』像
得意な日本史でも珍回答を出すんですね。
モデルではあるでしょうが、不正解です。
もう片方は兄でしょうか?
雄二以外全員の自己紹介が終わった頃、少し眠気が差してきた。ところが・・・
ガラッ!
そこへ、息を切らせて胸に手を当てている女子生徒が現れた。
「あの、遅れて、すいま、せん……」
『えっ?』
その姿に、男子生徒全員が意外を通り越したかのように驚いた声が上がる。
「調度良かったです。今自己紹介をしているところなので、姫路さんもお願いします」
「は、はい! あの、姫路瑞希と言います。よろしくお願いします!」
「はいっ、質問です!」
「あ、はいっ。なんですか?」
「何でここにいるんですか?」
普通は失礼かもしれない質問だが、ある意味この場では妥当。姫路瑞希といえば、2学年の学年次席。まともにテストをして、最下位クラスにはまずならないだろう。
「そ、その……振り分け試験の最中、高熱を出してしまいまして……」
成る程、確かに体は弱そうだな・・・ってこれは失礼か?
途中退席は問答無用で0点扱いだからな。
『そういえば、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに』
『ああ、化学だろ? あれは難しかったな』
『俺は弟が事故に遭ったと聞いて、実力を出し切れなくて』
『黙れ1人っ子』
『前の晩、彼女が寝かせてくれなくて』
『今年一番の大嘘をありがとう』
・・・それらが通用するとでも? 想像以上にバカだらけだ。
「で、ではっ、今年1年よろしくお願いします!」
姫路は逃げるように、明久と雄二の間の空いてる席に着いた。
彼女は席に着くや否や、安堵の息をついて卓袱台に突っ伏してしまう。
明久は姫路に話しかけようとした。だが・・・
「あのさ、姫」
「姫路」
雄二が言葉をかぶせた。なんか明久は残念そうだ。
ちょっと会話に参加してくるか。
☆
「坂本だ、坂本雄二。よろしく頼む」
「あ、姫路です。よろしくお願いします」
深々と頭を下げる彼女。挨拶も丁寧で、育ちが良さそうだ。いろんな意味で。
「ところで、姫路の体調はいまだに悪いのか?」
「あ、それは僕も気になる」
「俺も一応・・・」
と、口を挟んでみた。
「よ、吉井君!? と、あ、あなたは?」
なんか怖がられた!?
「姫路、明久がブサイクで正宗が強面ですまん」
そういえば、あんまり面識ないしな・・・。俺と姫路は有名人だけど会ったのは初めてだ。
「伊藤正宗だ。よろしく」
「はい、よ、よろしくお願いします」
「目もパッチリしてるし、顔のラインも細くてきれいだし、その、むしろ……、それと伊藤君だってちょっと怖いけど逆にそれがかっこよくて・・・」
ほめられてんだかどうなんだか・・・?
「正に『伊達男』って感じです!」
「そういってもらえるとすごくうれしいぜ!」
それは最高の褒め言葉だよ!
「正宗ってこの言葉に弱いよね」
「そうなんだよな。ちなみに明久、意味は分かるか?」
雄二が明久に問いかけた。
「もちろん。『横たわっていない男』ってことでしょ」
「縦男、とでも言いたいのか?」
「そんな言葉いつ使うのじゃ?」
「・・・・・・何回も話していただろう」
「いい加減覚えなさいよ。ウチも忘れたけど」
秀吉たちもきた。先ほど福原先生は教卓を叩いただけで壊れたから替えをとりに行ったようなので、会話に加わりに来たらしい。
「で、どういう意味だっけ?」
「伊達政宗が豊臣秀吉に濡れ衣をかけられた時、部下に磔台を担がせ、自身は白装束という姿で上方に訪れた。このときの姿を見た町人たちが驚き、彼を伊達男と呼んだのが由来。純粋な意味としては・・・・(文字数の都合で省略)
「長くてよくわかんないよ・・・」
「それにしても、ウィキペディアの『伊達男』の部分だけそのまんま暗記
しておるのじゃからな、ある意味の才能じゃ」
「・・・・・・好きこそ物の上手なれ」
そうか。全部読んだら明久に分かるわけがない。
「でも、それをほかの教科に向ければ・・・」
「それ以上は言うな」
「姫路もそのつもりで言ったのか?」
雄二が訪ねてみた。
「いえ、どこかで見た青いよろいを着た伊達政宗の顔が頭に浮かんできて・・・」
そりゃ戦国BASARAだな。どこで知ったのだろう?
問 空欄に入る言葉を答えなさい
東大寺法華堂や法隆寺中門に安置されている二体の像は○○○○像である。
姫路瑞樹の答え
『金剛力士』像
教師のコメント
正解です。運慶快慶によって作られた像で、ほかにも京都・奈良を中心に全国のお寺にあります。『阿吽の呼吸』という言葉もできました。
吉井明久の答え
『超コワイ』像
教師のコメント
運慶快慶の作品は金額に換算できないほど貴重な一品です。
その言い方はやめましょう。
伊藤正宗の答え
『金剛番長』像
得意な日本史でも珍回答を出すんですね。
モデルではあるでしょうが、不正解です。
もう片方は兄でしょうか?
雄二以外全員の自己紹介が終わった頃、少し眠気が差してきた。ところが・・・
ガラッ!
そこへ、息を切らせて胸に手を当てている女子生徒が現れた。
「あの、遅れて、すいま、せん……」
『えっ?』
その姿に、男子生徒全員が意外を通り越したかのように驚いた声が上がる。
「調度良かったです。今自己紹介をしているところなので、姫路さんもお願いします」
「は、はい! あの、姫路瑞希と言います。よろしくお願いします!」
「はいっ、質問です!」
「あ、はいっ。なんですか?」
「何でここにいるんですか?」
普通は失礼かもしれない質問だが、ある意味この場では妥当。姫路瑞希といえば、2学年の学年次席。まともにテストをして、最下位クラスにはまずならないだろう。
「そ、その……振り分け試験の最中、高熱を出してしまいまして……」
成る程、確かに体は弱そうだな・・・ってこれは失礼か?
途中退席は問答無用で0点扱いだからな。
『そういえば、俺も熱(の問題)が出たせいでFクラスに』
『ああ、化学だろ? あれは難しかったな』
『俺は弟が事故に遭ったと聞いて、実力を出し切れなくて』
『黙れ1人っ子』
『前の晩、彼女が寝かせてくれなくて』
『今年一番の大嘘をありがとう』
・・・それらが通用するとでも? 想像以上にバカだらけだ。
「で、ではっ、今年1年よろしくお願いします!」
姫路は逃げるように、明久と雄二の間の空いてる席に着いた。
彼女は席に着くや否や、安堵の息をついて卓袱台に突っ伏してしまう。
明久は姫路に話しかけようとした。だが・・・
「あのさ、姫」
「姫路」
雄二が言葉をかぶせた。なんか明久は残念そうだ。
ちょっと会話に参加してくるか。
☆
「坂本だ、坂本雄二。よろしく頼む」
「あ、姫路です。よろしくお願いします」
深々と頭を下げる彼女。挨拶も丁寧で、育ちが良さそうだ。いろんな意味で。
「ところで、姫路の体調はいまだに悪いのか?」
「あ、それは僕も気になる」
「俺も一応・・・」
と、口を挟んでみた。
「よ、吉井君!? と、あ、あなたは?」
なんか怖がられた!?
「姫路、明久がブサイクで正宗が強面ですまん」
そういえば、あんまり面識ないしな・・・。俺と姫路は有名人だけど会ったのは初めてだ。
「伊藤正宗だ。よろしく」
「はい、よ、よろしくお願いします」
「目もパッチリしてるし、顔のラインも細くてきれいだし、その、むしろ……、それと伊藤君だってちょっと怖いけど逆にそれがかっこよくて・・・」
ほめられてんだかどうなんだか・・・?
「正に『伊達男』って感じです!」
「そういってもらえるとすごくうれしいぜ!」
それは最高の褒め言葉だよ!
「正宗ってこの言葉に弱いよね」
「そうなんだよな。ちなみに明久、意味は分かるか?」
雄二が明久に問いかけた。
「もちろん。『横たわっていない男』ってことでしょ」
「縦男、とでも言いたいのか?」
「そんな言葉いつ使うのじゃ?」
「・・・・・・何回も話していただろう」
「いい加減覚えなさいよ。ウチも忘れたけど」
秀吉たちもきた。先ほど福原先生は教卓を叩いただけで壊れたから替えをとりに行ったようなので、会話に加わりに来たらしい。
「で、どういう意味だっけ?」
「伊達政宗が豊臣秀吉に濡れ衣をかけられた時、部下に磔台を担がせ、自身は白装束という姿で上方に訪れた。このときの姿を見た町人たちが驚き、彼を伊達男と呼んだのが由来。純粋な意味としては・・・・(文字数の都合で省略)
「長くてよくわかんないよ・・・」
「それにしても、ウィキペディアの『伊達男』の部分だけそのまんま暗記
しておるのじゃからな、ある意味の才能じゃ」
「・・・・・・好きこそ物の上手なれ」
そうか。全部読んだら明久に分かるわけがない。
「でも、それをほかの教科に向ければ・・・」
「それ以上は言うな」
「姫路もそのつもりで言ったのか?」
雄二が訪ねてみた。
「いえ、どこかで見た青いよろいを着た伊達政宗の顔が頭に浮かんできて・・・」
そりゃ戦国BASARAだな。どこで知ったのだろう?
更新日:2013-05-06 20:56:40