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第弐話

第二問

問 次の□に漢字を一文字入れなさい。
『(1)一 日 千 □
『(2)品 □ 方 □

姫路瑞希の答え
(1)『秋』
(2)『行、正』

教師のコメント
正解です。『一日千秋』と『品行方正』です。


吉井明久の答え
(1)『円』

教師のコメント
『一日千円』高校生の一日の小遣いだとしたら高いですね。


伊藤正宗の答え
(2)『川、面』

教師のコメント
『品川方面』そちらに一体なにがあるのでしょうか?






 Fクラスの教室に向かうとき、ついでにAクラスの教室を見てみた。

 とても学校とは思えないほどの設備であった。Aクラスがこれなら、Fクラスはどうなっているのだろうか。せいぜい畳と卓袱台ぐらいなら許せるのだが・・・。


          ☆


 二年F組と書かれたプレートのある教室の前で俺は少しだけため息をついた。

 プレートを見た感じ、すでに真っ二つに割れかけている。誰かが叫んだだけですぐにバキッっと割れてしまうんじゃないだろうか。そして戸を開けると・・・

「すいませーん、遅れやしたー」

「早く座れ、このゴミ虫野郎!」

 んだとコラ!

「聞こえないのか? あぁ?」

「てめぇこそ誰にケンカ売ってると思ってんだ!」

 坂本雄二。一年のころから同じクラスの知り合いだが、どうやっても相成れない仲だ。

「まぁ落ち着いてよ正宗。僕なんてウジ虫野郎って言われたんだから」

「「どっちもそれほど変わらないじゃねぇか!!」」

 同じく去年と同じクラスだった吉井明久が落ち込んでしまった。どういえばいいやら・・・・・とりあえずおいといて。

「んで、なぜお前は教壇に上がってるんだ?」

「先生が遅れてるらしいから、代わりにあがってみた」

 そうか。よかった。かろうじて先生はいるんだな。

「そんなに偉そうなのはなぜだ?」

「俺がこのクラスの最高責任者だからだ」

「へー、そうなのか」

 妙にえらそうな言い方を聞き流し、教室を見渡してみた。クラスメイトはみな床に座っている。正確には畳だ。さっき俺が予想したとおり、普通に畳に卓袱台だった。


 ただし、すごくボロいことを除いては。


「まさかここまでひどい設備とは・・・想像以上だ」

「だが、そのほうが俺には好都合だ」

 この方がいいって、なにを考えてんだ?


 そんな話を三人で話していると、先生が来た。

「えー、おはようございます。二年F組担任の福原慎です。よろしくお願いします」

 先生は黒板のほうを向いたが、すぐに戻った。どうやらチョークすら用意されてないらしい。

「皆さん全員に、卓袱台と座布団は支給されてますか? 不備があれば、申し出てください」

 大有りだ。

 三人ほど申し出たが、『我慢しろ』、『自分で直せ』というものだった。それ以後不備を申し出るものはいなかった。 
 

更新日:2012-08-04 14:44:33

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