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第八話

問 以下の文章の(  )に正しい言葉を入れなさい。
『光は波であって、(  )である』


姫路瑞希の答え
『粒子』

教師のコメント
よくできました。


土屋康太の答え
『寄せては返すの』

教師のコメント
君の解答はいつも先生の度肝を抜きます。


吉井明久の答え
『勇者の武器』

教師のコメント
先生もRPGは好きです。


伊藤政宗の答え
『水を通して助けを呼べるもの』

教師のコメント
光ファイバーのことでしょうか。あと探偵学園Qですね。
今分かる人はあまりいないかと。





「Shit! 今回は楽な戦だったぜ・・・・・・おい小十郎!勝鬨をあげろォ!」

 だから明久だってば。それに僕じゃなくても勝手にやってくれるから。

 
 Dクラス代表 平賀源二 討死


 Fクラス 勝利


『うおおーーっ!』


 勝ち鬨があがり、皆が歓喜している。

「凄ぇよ!本当にDクラスに勝てるなんて!」

「これで畳や卓袱台ともおさらばだな!」

「ああ。アレはDクラスの連中の物になるからな!」

「坂本雄二サマサマだな!」

「姫路さん愛してます!」


 誰なんだろうか。姫路さんへのラブコールを送る人は。

「…っと、調子にのりすぎたか?」

「お、おっと・・・」

 正宗が倒れそうになっていた。直前で僕が受け止めた。

「大丈夫、正宗?」

「あ・・・ああ、気にすんな。ちょっと疲れただけだ。まったく、勝手に出てくるくせに体の負担がでかすぎるぞ」

 一応正宗は『伊達政宗』が出てきてしまうことを知っている。あっちはあんまり意識してないみたいだけど。

「そういえば、あっちの『政宗』は妙に召喚獣の扱いに慣れてたんだけど、どうしてなの?」

 少し疑問に思っていたことをたずねてみた。

「ああ。少しはな、俺の意識は残っているんだ。だから『ヤツ』は自分がやるべきことはしっかり知っている。ちなみに、そのときの記憶は俺のほうにも残っている」

「なるほど。つまり、召喚獣の操作は正宗がやってたってこと?」

「半分正解だ。操作技術は俺のものだが、実際に動いてんのは『ヤツ』指示しているからだ。だが、『ヤツ』が出てきても基本的には俺の身体能力を使っているからな」

 正宗は召喚獣の扱いが僕以上ににうまい。政宗曰く、『ゲームで鍛えてるからかな。その要領でできる』のだそうだ。その時、それ以外の理由も隠してそうだったけど・・・・・


 side 正宗

「じゃあ、さっき僕のことを『小十郎』じゃなくて、『明久』って呼んだことがあったけど・・・?」

「あれは俺の意思が介入したからだ。たまに介入できることもある。少なくとも俺は明久を『小十郎』なんて呼ばねぇぞ」

 片倉小十郎はもっと頭がいいからな。

「それは、明久が片倉小十郎の真逆の頭を持つからか?」

 誰だ!? 今俺が思ったことをほとんどそのまま言った奴は!?

「あ、雄二。戦後対談は?」

「今終わったところだ。『Dクラスの設備には手をつけない』と言っといたぞ」

「え? なんでそうするの?」

「目標はあくまでAクラスだからな」

「じゃあ、最初からそうすればいいじゃないか」

「その疑問は宣戦布告のときに気づけ。だからお前は近所の中学生に『バカなお兄ちゃん』なんて愛称をつけられるんだぞ」

 なんてことを言ってやがる。少し間違っている。

「違うぞ雄二。中学生じゃなくて小学生だ」

「・・・人違いです」

「まさか・・・本当に・・・言われているのか?」

 俺は現場を目撃したことがある。これ以上は明久の名誉で黙っておこう。

「酷いよ正宗・・・遠回しにバカといった上に、こんな半端にリアルな嘘をついて!」

「待て! 俺はバカにしたつもりはない! そして嘘ではなくリアルな話だ!」

 ヤバイ! 関係性に亀裂が入りそうだ!

「・・・でも、パン粉に免じて我慢しておこう・・・」

 それでいいのか? 100g20円で?

 
 まさか20円が友情をつなぎとめるとは思わなかった。


「いや、なんか俺のほうもごめんな」

「うん、食料のためなら仕方がない。『明久』が普通なんだから、なんにしても極力そっちで呼んでね」

「ああ、今度は本物のパンをおごってやるよ」

「ありがたき幸せ」

 こうして、俺と明久の中は深まった。


「・・・なんだこの寸劇は・・・」

 雄二が呆れたような、そして楽しそうな表情で見ていた。



 関係が崩れなくてほんとによかった・・・。

更新日:2012-08-02 16:21:07

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