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年寄り騙すなんてロクなもんじゃねー

藪「オレオレ詐欺よりマシだな」

石「オレオレ詐欺なんかに比べてもらいたくねーや。年寄り騙すなんてロクなもんじゃねー」

薮「ほほー、詐欺師にもプライドはあるか」

石「五人、十人がかりで年寄り騙すなんてのは許せネー」

藪「正しい騙し方ってのはあるのかね」

石「へー、オレみてーに、まっとうに二枚舌使ってもらいてーな。五人がかりじゃ十枚舌だ」

藪「十枚舌か。キミ、うまいこと言うね。代議士諸君なんか、十枚じゃきかんだろう」

石「代議士にはかなわねーや。お国のために千枚舌つかうんだから・・・」

薮「あっさりかぶとをぬいだな」

石「千枚舌には巻かれろって言いますんで」

薮「だれも言わないよ。長いものには巻かれろだ。昔々正直が売り物の代議士がおったな。わたしは嘘は申しません、なんて。もしかしたらこの代議士、舌は一枚しか生えなかったのかも知れん」

石「へえー、そんな代議士、いたんですか。そりゃあ初耳だ。ええ、あたしゃ、ものを知りませんので」

薮「なに?ものを知らない?人を騙すのに、ものを知らんでどうする。え?後学のために教えておくが、世の中を知るには噺を聞くのが一番だ。噺は浮き世の知恵というからな。よく聞いておきなさい」

石(独り言)(どうも、大変なセンセーだな。歯医者へ来て説教されるとは思わなかったネ)「えー、それよりもセンセー、早いとこ片付けておくんなさい」

更新日:2009-02-28 14:49:26

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