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初診専門なんてどこにあるの?

 あたしどもの噺には腕の立つセンセーはあんまり登場しません。

 土手医者、藪医者、竹の子医者が落語界を背負って立つヒーローでして・・・。

 竹の子医者てーのは、これから藪になる医者でして、藪医者てーのは、少しは向こうがみえる。土手医者になると、ぜんぜん向こうが見えない。

 薮井センセーは、えー、間違って歯医者になった・・・不器用が有名なセンセーでして・・・

 類は友を呼ぶというんでしょうか、アシスタントには、頭の少々弱いのが雇われる。頭が弱いてーと、どういうわけか、体はムチムチに育つようで、一度はそのムチムチで患者さんを呼べますな。

頭の弱いアシスタント「薮井センセー、初診の患者さんでーす」

薮井「うちはこのごろ初診ばかりだね。初診専門の看板出してんのかい」

ア「まだ出してませーん。看板屋さんにたのみましょうか?」

薮「冗談を真に受けんじゃないの、初診専門なんてどこにあるの?」

ア「エー?ないんですかー?知らなかったー」

薮「キミは黙ってるといい女にみえるんだがな」

ア(喜んで体をくねくねさせながら)「ヤダー、センセー、いつもおんなじお世辞なんだから」

薮「いいから、早く患者さんを呼んで来なさい」

更新日:2009-02-28 14:42:38

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