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第五話 異界進行/異形襲来──BLEACH×NANOHA

ソレはどことも知れない次元にあった。
どこまでもどこまでも続く常夜の砂漠。決して日が差すことはなく、どんな生物も存在しない、死んだ世界。
その砂漠のちょうど中心に、その神殿は存在した。虚圏(ウェコムンド)と呼ばれる虚(ホロウ)の世界にも虚夜宮(ラス・ノーチェス)という宮殿が在ったが、それと比べても遜色ない程に巨大な建物だった。
その内部、天井まで届く二本の白い柱だけが存在する部屋。そこにひとりの青年が立っている。
片眼鏡(モノクル)のような仮面をつけ、腕組みをしながら壁に寄り掛かる青年。正面の二本の柱、その間隙を退屈そうに眺めている。
──ピシリ。
かすかな剥離音。卵の殻が内側から割れるような小気味いい音。
「……来たか」
億劫そうに壁から離れ、柱に近づく。その間も腕組みは崩さない。
ビシビシビシ、と空間に亀裂が走る。それは柱の間隙の中だけに生じているようで、柱にヒビが達するとそれ以上は広がらない。
中心から弾け飛ぶように空間に孔が開く。砕けた風景の欠片はそのまま空気に溶けるように消え、その奥に広がる闇を晒す。
コツコツと。聞こえる筈のない足音が孔から響く。

更新日:2012-09-20 16:54:13

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