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街には危険がいっぱい 後編


Sideなのは

私は今、街中で発動してしまったジュエルシードを封印するために、暴走体の大きな樹と戦っています。あのジュエルシードは、きっと昼間のサッカーの試合の時、相手チームの男の子が持っていた物と同じ。

本当なら、気付いた時に譲ってもらって封印するべきだったのに、私はそれをしなかった。その結果、こんなに街に被害を出してしまった。

「私のせいだ・・・!」

自分の甘さに怒りがこみ上げてくる。同時に、涙で少し視界が滲む。泣いて良い資格なんて、私には無いのに・・・。

『!? なのは、後ろ!』

「え?!」

ユーノ君の言葉に後ろを向くと、そこには大きな根っこが迫っていました。

あぁ、やっちゃった。

私の不注意でこんな事になったのに、今度はその不注意でやられちゃうんだ・・・。

ごめんね、ユーノ君。最後までお手伝いできなかったよ・・・。


やがて襲って来るであろう衝撃に備えて、私は目を瞑って、身体を強張らせる。






『Divine saber』


ズバァッ!!

どこからか聞こえた機械音声。それに続いて、何かが斬れる音が響く。

「な〜に勝手に諦めモードに入ってんだよ」

正面から、聞き慣れた声が聞こえてくる。

「諦めるんだったら最後まで足掻いて、それでも無駄だった時に諦めろ」

なぜか安心できる声。
初めて会った時から、なぜか信頼できた人の声。

「なぁ・・・なのは?」

目を開くと、そこには槍のようになったデバイスを構えて、私に笑いかける直哉くんの姿がありました。









Side直哉

なのはに迫っていた根を斬り潰し、なぜか沈んでいたなのはの前に立つ。

「直哉・・・くん・・・」

「大丈夫か? ケガとかは・・・」

「直哉くん!!!」

なのはを気遣っていると、なんでかなのはに抱きつかれた。

「ほわぁあっと!!?」

突然の行動に、間抜けな声が出てしまう。

「お、おい。なの・・・」

「・・・なさい・・・」

「・・・・・・え?」

「ごめんなさい・・・私のせいなの・・・ごめんなさい・・・ごめんな・・・さ、い・・・」

僕に縋りつくように泣きじゃくるなのは。

ごめんなさい?

「・・・説明、してくれるか・・・?」









その後、途切れ途切れだがなのはからの説明で大体の状況は把握できた。
なのはの不注意でこうなった事。その罪悪感に苛まれる内に、今みたいな事態に陥った事。

(・・・責任感が強いのは認めるけど、な・・・)

『・・・直哉。あんまりなのはを責めないでほしい。気付けなかった僕にも、責任はあるんだ』

そんななのはを見かねてか、ユーノが言う。

「いや、責めるつもりはこれっぽっちも無いんだが・・・なぁ、なのは」

「っ・・・なに?」

更新日:2012-08-23 21:38:39

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魔法少女リリカルなのは 〜Endless Story〜