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Chapter.10 水瓶座師弟再会と大団円

 紫龍が歩いて来たのと同じ方向から、やはり同じように傷だらけになりなから、一歩一歩、足を進めてくる金髪の少年の姿が見える。

「氷河……!」

 カミュが名前を呼んで飛び出して行くのに、氷河は俯けていた顔をあげた。

「氷河、私だ!」
「カミュ……? ま、まさか……」

 呆然とつぶやいてから、氷河もまた背後を振り返り、石像が消えているのを見ると、生色を取り戻してカミュの名を呼び、手を伸ばした。

「我が師、カミュ……!」
「氷河、よく無事でいてくれた!」

 胸に飛び込んできた愛弟子を、カミュはしっかりと抱きとめた。

「カミュ……戻ってきてくださったのですね……」
「ああ。ミロやアフロディーテの献身で、封印を解くことができた。もう大丈夫だ、氷河。瞬も、一輝も、紫龍もここにいるぞ」
「瞬や一輝が……星矢は?」
「星矢は我々も探している。一緒にいたのではないのか?」

 カミュの問いに、氷河はかぶりを振った。

「星矢は、アテナの行方を追ったきり……」
「このような時にすまないが、氷河、星矢はいま、戦える状態なのか?」
「……星矢は」

 視線を落として口ごもった氷河の様子が、既に答えになっていた。

「星矢は……冥界での戦いの後、ほとんど動くこともできない状態であったと……俺たちと出会ったときは、いく分かは回復していたようです。しかし、今までのように戦えるか……」
「それが、ハーデスの呪いの剣インビジブル・ソードか」

 その声に、氷河がはっと顔を上げると、ミロが彼らの側に近づいて告げた。

「氷河、すまない。俺の責任だ。ハーデスの魂と接触し、星矢が奴の呪いの剣を受けたということまでは聞き出したが、仕留め損なった」
「ミロ……ど、どういうことだ? あなたは何か知っているのか?」
「俺もさほど詳しくはわからん。が、星矢はいま窮地に陥っているのだろう。ならば助けに向かうだけだ。細かいことは後でいい。星矢の側には、きっとアテナもいる」

 清々しいほど事態を単純化して、ミロはきっぱりと言ってのけた。
 何も考えずに突っ走る蠍座スコーピオンのミロの本領発揮、と黄金聖闘士の誰もが思ったが、紫龍や氷河の目には、もしかすると頼もしく映ったかもしれない。

「この場合、間違ってはいないでしょうね。物事の優先順位だけは、ですが」
「……いや、あれを『仕留め損なった』って、微妙に表現が間違ってるっつか、ズレてねぇか? そもそもハーデスを『仕留める』のが目的じゃなかったと俺でも思うぜ」
「ズレてますけど、今それを追求しても無意味ですよ」

 後ろでこっそりと、デスマスクとささやきあってから、ムウが言った。

「行ってください、ミロ。あと、他に何人か。四人は私が白羊宮で預かります」
「いや、彼らは私が預かろう。教皇の間の方が安全であろうからな」

 進み出てきたシオンの姿を見て、紫龍と氷河は眼を見張った。

「あ、あなたは……!」
「教皇、アリエスのシオン!?」
 

更新日:2012-07-05 21:05:17

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聖闘士星矢 黄金聖闘士復活篇~序奏~