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「この小宇宙は、アテナのものではないな……」
「アルテミスか。結構好き放題やってくれたみたいだな」

 やはり、当たりを見回してデスマスクが呟く。

「だが、女神だからって容赦しねぇ。見つけ出して一発ぶん殴る!支配星の力の使い方はミロ、お前によーく教わったからな」
「俺が? 何をしたと言うんだ?」
 
 
 ……………………orz


「おま……最悪。マジ最悪。超最悪。この状況でここまで空気読まねぇ台詞は、並大抵の神経じゃ吐けねぇ……しかも本人には何の悪気も自覚もないときてやがる……てかその場の勢いだけで、何も考えずにあんな派手な自爆技をいきなりかますとは……蠍座のミロ、恐ろしい男だぜ……」

 地面に両手を付いてうなだれたデスマスクを、きょとんとして見おろすミロ。

「いや……アルテミスだけではない。別の小宇宙も重なり合っている」

 ナチュラルに空気を読まないミロに対して、空気なぞ読んでやる気はまったくないシャカだが、あたりの気配を探って呟いた。

「だが、闘争的なものではないな。周囲に怪しい気配は……む?」
「誰かくるぞ」

 アルデバランが告げ、シャカは眼を開いてそちらを見た。

「あれは……フェニックス。それに、アンドロメダ」

 青銅聖闘士、フェニックス一輝とアンドロメダ瞬の二人が、よろめく体を支え合い、ようやっとのことで十二宮に向かって歩いてきた。二人とも傷だらけになり、聖衣も大きく破損している。

「シ……シャカ……!? それに他の黄金聖闘士も……あなたたちが、どうして……!?」

 近づいてきた瞬が、少女めいた大きな瞳を見開いて、驚きの叫びをあげた。

「そんなことはあとだ。君たちは何者かと戦っていたのか? 一輝ほどの男がこれほどやられるとは……アテナは? 他の青銅たちはどこにいる?」

 シャカが、瞬が支えてきた一輝の体を受け止めながら尋ねた。どうやら一輝はほとんど気を失いかけているらしい。

「わかりません……相手は、月の女神アルテミスの使いだと……星矢がアテナの行方を追いましたが、僕たちは……なにか強大な、小宇宙の爆発に巻き込まれて……」

 ようやっとのことでそれだけを答えた瞬も、ふらり、とよろめいて倒れかかる。

「しっかりしなさい、瞬!」

 ムウが咄嗟に手を伸ばし、瞬の身体を受け止めた。

「……ムウ……? よかった……あなたも、生きて……」

 張り詰めた糸が途切れるように、瞬もそう呟くと、気を失ってしまう。

「とりあえず白羊宮に運びます。シャカ、手伝ってください」
「待て、もう一人……あれは」

 瞬と一輝に遅れて現れた人影は、長い黒髪の少年だった。だが彼は途中で力尽きたように、がくりと地に膝をつく。その身を護っていたはずの青銅聖衣は先の二人と異なり、ほとんど失われている。

「……紫龍か!?」
「おお、紫龍!」

 シュラと童虎が駆け寄ると、紫龍もはっと顔を上げ、驚愕の表情を浮かべた。

「ろ、老師……! それに、あなたはシュラ……!」
「しっかりせい、紫龍!」
「老師……ご無事で……しかし、なぜ……」

 そう問おうとして、紫龍ははっとして、何かを探して瞳を巡らしたが、やがて。

「封印の石像が ―― 消えている……では、あなたがたは」
「我々の詳しい話はあとじゃ。お前はアテナと共にいたのか?」
「……申し訳ございません、老師。アテナの行方を探してこの聖域に参りましたが、アルテミスの使者と名乗る敵に出会い、氷河や星矢とともにからくも倒しました……しかしアテナは……」

 紫龍は頭を下げた。彼もアテナの行方を知らぬことは明白であったので、童虎もそれ以上問いただすことはしない。

「わかった、紫龍、あとは我々にまかせるがよい。もうひとつだけ問うが、氷河と星矢はどこじゃ?」
「氷河はまもなく……」

 紫龍はもう一度、後ろを振り向くことで答えに代えた。

更新日:2012-07-05 17:47:16

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聖闘士星矢 黄金聖闘士復活篇~序奏~