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Chapter8. 蠍座、ついに暴走開始!
「これ以上言っても無駄なようだな、ハーデス!」
ミロの叫びが響く。それとともに、空間を圧して輝きを増していく小宇宙。
「だがお前を滅ぼせば、少なくとも、星矢が受けた呪いの剣インビジブル・ソードとやらも消えるだろう……ここで俺と共に、今度こそ魂までも完全に消滅するがいい!!」
「あ、あれは……!?」
「スカーレットニードルの ―― いや、アンタレスの光輝……!?」
小宇宙の黄金の輝きと共に、ミロの姿を包んで、炎のような真紅の光が燃え上がる。
「何をする気だ、ミロ!?」
一同が見る前で、黄金と真紅の輝きは次第に力を増し、カミュの氷のリングが弾け飛んだ。
「蠍座の赤色超巨星アンタレスは、星の内部に向けて重力崩壊を起こせば、超新星となって爆散する……同じように、スカーレットニードルのすべての力を、外部でなく内側へ向けて圧縮し、一気に爆発させれば……俺の魂と融合しているハーデス……貴様もまた、共に砕け散るはずだ……!」
「ミロ、やめろ……! そんなことをすればお前が……!」
「カミュ、それにミロも少しだけ待つがよい」
悲痛な声を上げ、手を伸ばしかけたカミュを遮り、シオンが再び前に出る。
「聞いてのとおりだ、ハーデス、それにポセイドン。肉体の束縛から解き放たれ、同一の空間内部に閉じ込められた今、我らは人ではあっても、貴方がたと対等。同じ支配星を持つ者であれば、そうして貴方がたを捩じ伏せることさえ可能なのだ」
「教皇……」
「そして、我らは88の星座の頂点に立つ黄金聖闘士。ミロもアフロディーテも、このような次元になすすべなく封じられているより、アテナの御為に、そして地上の人々を守る為にであれば、魂をも捧げる覚悟だ……そうだな、アフロディーテ?」
「あいにく、私は……ミロのように、自分ごと爆散させるような力はもたないが……」
教皇の言葉に答えて、アフロディーテも微笑んだ。
「だが、ポセイドンの動きを抑え込むことならできるようだ……デスマスクでも、ムウでも構わない……まさか、動かない的を外すことなどないだろう……」
「殊勝なことを言うじゃねぇか。安心しろ、アフロディーテ。俺様が一発で決めてやるからよ」
デスマスクが笑い返し、その手に灯る蒼白い燐気が、悽愴な表情を照らし出す。
「できれば私どもも、神である貴方がたを完全に滅ぼすなどということは避けたい。神々によって保たれる世界の秩序を崩壊させるかのごとき行いは、決して地上の平和を守ることにはつながらぬであろうからだ。だが、貴方がたが神であるというだけの理由で、座して滅亡を受け容れることもせぬ!」
シオンは鋭く叫び、最後の選択を突きつけた。
「ことにハーデス、今度ばかりは私たちを仮にとはいえ従わせたようにはいかぬぞ。誇り高き蠍座の黄金聖闘士、スコーピオンのミロに対峙した敵の選べる道は、降伏か死か、二つに一つ! ―― さあ、ミロを通じて答えよ。敗北を認め我々を解放するか、それとも、諸共に今度こそ転生も復活も叶わぬ完全なる消滅を望むか!?」
「無駄です、教皇……これ以上は……っ!!」
言いかけたミロの姿が大きくよろめき、瞬間、光の中に舞った髪の色が再び変化する。
「……人間共……ここまで、余に……神に逆らうか……」
「ハーデス、答えは如何に?」
「わかっているのだろうな……余は冥王ハーデス、すべての死と滅びを司るもの。いかにそなたら人間が抗おうとも、すべては……余の理のうちだ……」
呟いたハーデスの声が途切れ、ミロが両手で顔を覆うと、地に片膝をつく。
背中に流れ落ちる長い髪は、またもとの色を取り戻した。
「その……死と、滅びの力も……俺が、使わせてもらうぞ……ハーデス……!」
「……ミロ!」
再度、ハーデスから自我を奪い返し、ミロは力を込めて立ち上がると、声を振り絞った。
「カミュ……俺がハーデスの力も融合させて、アンタレスを超新星爆発させる……それと同時に、オーロラエクスキューションを撃て!」
「なにを言う! それだけの力がぶつかれば、お前はもちろん、ポセイドンを抑えるだけで精一杯のアフロディーテも、ただではすまない……ふたりとも本当に魂ごと消滅してしまうぞ!」
「だからこそだ……俺とハーデス、アフロディーテとポセイドンの力がすべて解放され、お前やデスマスクの力も加われば、この封印の空間も、内側から爆砕できるかもしれん」
「勝手なことを……」
アフロディーテが目を伏せ、静かに微笑む。
「よかろう……私も、君とタイミングを合わせて、ポセイドンの力を解き放ってみよう。成功の保証はないが」
「お前ではなくポセイドンに言っておく。巻き込まれたくなければ、俺とハーデスを残して全員まとめて地上へ逃げろ、とな」
ミロの叫びが響く。それとともに、空間を圧して輝きを増していく小宇宙。
「だがお前を滅ぼせば、少なくとも、星矢が受けた呪いの剣インビジブル・ソードとやらも消えるだろう……ここで俺と共に、今度こそ魂までも完全に消滅するがいい!!」
「あ、あれは……!?」
「スカーレットニードルの ―― いや、アンタレスの光輝……!?」
小宇宙の黄金の輝きと共に、ミロの姿を包んで、炎のような真紅の光が燃え上がる。
「何をする気だ、ミロ!?」
一同が見る前で、黄金と真紅の輝きは次第に力を増し、カミュの氷のリングが弾け飛んだ。
「蠍座の赤色超巨星アンタレスは、星の内部に向けて重力崩壊を起こせば、超新星となって爆散する……同じように、スカーレットニードルのすべての力を、外部でなく内側へ向けて圧縮し、一気に爆発させれば……俺の魂と融合しているハーデス……貴様もまた、共に砕け散るはずだ……!」
「ミロ、やめろ……! そんなことをすればお前が……!」
「カミュ、それにミロも少しだけ待つがよい」
悲痛な声を上げ、手を伸ばしかけたカミュを遮り、シオンが再び前に出る。
「聞いてのとおりだ、ハーデス、それにポセイドン。肉体の束縛から解き放たれ、同一の空間内部に閉じ込められた今、我らは人ではあっても、貴方がたと対等。同じ支配星を持つ者であれば、そうして貴方がたを捩じ伏せることさえ可能なのだ」
「教皇……」
「そして、我らは88の星座の頂点に立つ黄金聖闘士。ミロもアフロディーテも、このような次元になすすべなく封じられているより、アテナの御為に、そして地上の人々を守る為にであれば、魂をも捧げる覚悟だ……そうだな、アフロディーテ?」
「あいにく、私は……ミロのように、自分ごと爆散させるような力はもたないが……」
教皇の言葉に答えて、アフロディーテも微笑んだ。
「だが、ポセイドンの動きを抑え込むことならできるようだ……デスマスクでも、ムウでも構わない……まさか、動かない的を外すことなどないだろう……」
「殊勝なことを言うじゃねぇか。安心しろ、アフロディーテ。俺様が一発で決めてやるからよ」
デスマスクが笑い返し、その手に灯る蒼白い燐気が、悽愴な表情を照らし出す。
「できれば私どもも、神である貴方がたを完全に滅ぼすなどということは避けたい。神々によって保たれる世界の秩序を崩壊させるかのごとき行いは、決して地上の平和を守ることにはつながらぬであろうからだ。だが、貴方がたが神であるというだけの理由で、座して滅亡を受け容れることもせぬ!」
シオンは鋭く叫び、最後の選択を突きつけた。
「ことにハーデス、今度ばかりは私たちを仮にとはいえ従わせたようにはいかぬぞ。誇り高き蠍座の黄金聖闘士、スコーピオンのミロに対峙した敵の選べる道は、降伏か死か、二つに一つ! ―― さあ、ミロを通じて答えよ。敗北を認め我々を解放するか、それとも、諸共に今度こそ転生も復活も叶わぬ完全なる消滅を望むか!?」
「無駄です、教皇……これ以上は……っ!!」
言いかけたミロの姿が大きくよろめき、瞬間、光の中に舞った髪の色が再び変化する。
「……人間共……ここまで、余に……神に逆らうか……」
「ハーデス、答えは如何に?」
「わかっているのだろうな……余は冥王ハーデス、すべての死と滅びを司るもの。いかにそなたら人間が抗おうとも、すべては……余の理のうちだ……」
呟いたハーデスの声が途切れ、ミロが両手で顔を覆うと、地に片膝をつく。
背中に流れ落ちる長い髪は、またもとの色を取り戻した。
「その……死と、滅びの力も……俺が、使わせてもらうぞ……ハーデス……!」
「……ミロ!」
再度、ハーデスから自我を奪い返し、ミロは力を込めて立ち上がると、声を振り絞った。
「カミュ……俺がハーデスの力も融合させて、アンタレスを超新星爆発させる……それと同時に、オーロラエクスキューションを撃て!」
「なにを言う! それだけの力がぶつかれば、お前はもちろん、ポセイドンを抑えるだけで精一杯のアフロディーテも、ただではすまない……ふたりとも本当に魂ごと消滅してしまうぞ!」
「だからこそだ……俺とハーデス、アフロディーテとポセイドンの力がすべて解放され、お前やデスマスクの力も加われば、この封印の空間も、内側から爆砕できるかもしれん」
「勝手なことを……」
アフロディーテが目を伏せ、静かに微笑む。
「よかろう……私も、君とタイミングを合わせて、ポセイドンの力を解き放ってみよう。成功の保証はないが」
「お前ではなくポセイドンに言っておく。巻き込まれたくなければ、俺とハーデスを残して全員まとめて地上へ逃げろ、とな」
更新日:2012-07-05 17:18:23