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「付け加えるなら、天王星・海王星・冥王星の三つを支配星に持つ星座は、古代の副支配星サブルーラーがあります。天王星を支配星に持つのは水瓶座のカミュですが、サブルーラーである土星とともに氷のリングを持つ惑星ですから、彼が凍気を使うのも納得できますね。魚座のサブルーラーは、射手座の支配星でもある木星。アフロディーテはああ見えて、潜在能力は非常に高いということですよ」
「お前もだが、見かけによらない奴らばっかりだな……」
直接対決の経験に乏しいカノンがしみじみと呟いたが、続いたムウの台詞に肝を冷やす羽目になった。
「あなた、ミロが本気じゃなくて助かりましたよね」
「それはそうだが」
「支配星が冥王星でサブルーラーが火星の組み合わせであるミロのほうが、最終的な底力が桁違いですから、よほど舐めてかかれない相手なんですよ。彼の本質的に情け深く、おおらかで明るい性格がリミッターになっていますが、いったん何かで安全装置が外れれば、スカーレットニードル一発ずつの速度も破壊力も、天井知らずに上がるでしょうね」
「そんな反則チート化は要らん! 激情家だが人が良くて技の威力が限定的なミロのおかげで『ここで皆殺しだ!』と言われてもなんとか助かったんだ!!」
絶句したカノンに代わるように、不本意ながら直接対決経験豊富になってしまったシュラが思わず叫び、デスマスクに尋ね返される。
「ミロにそんなこと言われたのかよシュラ」
「う……まあ、シャカと戦ったあとだったから、あいつやアイオリアが怒るのも無理もないと思ったが……」
「おいおい……ムウだのシャカだのサガだのどころか、実はミロが一番やばくねぇか? あの野郎、何も考えてない天然脳筋バカと見せかけてどんだけ油断ならねーんだよ……ハーデスの影響で黒ミロでも覚醒したら誰が止める?」
ため息混じりのデスマスクの言葉に、そこに居た全員の視線が、期せずして一人に集中した。
その一人の肩にサガがそっと手を置き、静かに告げる。
「…………カミュ、お前には気の毒だが、万が一のときはまかせたぞ」
「任せないでくれサガ!あなたにそんな真顔で言われたら、私は今後ミロとどうやって友情を維持していけばいいんだ!?」
「そういえばお前、アテナが自害に見せかけた時、激昂したミロに本気で殺されかけていたような……」
「私は……私は、あなたに従って、かつて愛弟子たる氷河と戦い、もうひとりの愛弟子アイザックはクラーケンの海将軍となって私の許から失われた……だが、二人に全てを受け継がせたと思ったからこそ、ハーデスとの戦いでは、涙を飲んであなたとともに逆賊の汚名を着ることも受け入れたのだ。だが、いや、それだからこそ、この上、再びミロとまで戦えるはずが……っ!!」
「なんだか本当に哀れになってきたな……悪かった、カミュ。だから聖衣を冥衣化させるのはまだ早いぞ」
サガは心の底から、この気の優しすぎる戦友を巻き込んだことを、後悔せずにはいられなかった。
その二人のやりとりを聞きつけたのか。
それまで外野の無駄話を意に介さぬまま、シオンと対峙していたミロ=ハーデスが、もう一度そちらを振り返り、冷ややかな微笑をひらめかせた。
「水瓶座の黄金聖闘士は、今度は自らの意思でこのハーデスの前に膝を折るか? ふふ、よかろう。そなたの操る力は我々冥界のものとも相性が良い。いま余の媒介となっているこの蠍座の黄金聖闘士ともども、冥王軍の最高位をもって迎えようぞ」
「ならばハーデス。私はこの魚座の聖闘士と、シードラゴンのカノンをあらためて海将軍としてこちらへ頂くことにしよう。そのくらいの報償は要求しても構うまい。今後、聖域が我々と協力関係を築き、三界並び立って天界の脅威に立ち向かうつもりであるならばだが」
アフロディーテ=ポセイドンが続ける。
「コラ勝手に決めんなよてめぇら!」
「いかがかな、教皇シオン。これらの条件を呑むというなら、我々も、お前たちをこの封印から解放してやらぬでもない」
見た目全く変化なしのアフロディーテの姿に油断したデスマスクの言葉は、華麗にスルーされた。
シオンは軽く苦笑したようである。
「申し訳ないが、海皇ポセイドンよ。私はあくまでアテナ不在の際の地上代行者であり、アテナを補佐する立場。貴方がたの言い分もわかるが、アテナの意を汲まずにそこまでする権限はない。それはアテナに直接交渉していただかねば」
「直接?それはアテナが今、地上の支配権を月の女神アルテミスに剥奪されていると知って言うのか?」
「……なんだと? アテナが!?」
一同に再び驚愕の色が拡がった。
「お前もだが、見かけによらない奴らばっかりだな……」
直接対決の経験に乏しいカノンがしみじみと呟いたが、続いたムウの台詞に肝を冷やす羽目になった。
「あなた、ミロが本気じゃなくて助かりましたよね」
「それはそうだが」
「支配星が冥王星でサブルーラーが火星の組み合わせであるミロのほうが、最終的な底力が桁違いですから、よほど舐めてかかれない相手なんですよ。彼の本質的に情け深く、おおらかで明るい性格がリミッターになっていますが、いったん何かで安全装置が外れれば、スカーレットニードル一発ずつの速度も破壊力も、天井知らずに上がるでしょうね」
「そんな反則チート化は要らん! 激情家だが人が良くて技の威力が限定的なミロのおかげで『ここで皆殺しだ!』と言われてもなんとか助かったんだ!!」
絶句したカノンに代わるように、不本意ながら直接対決経験豊富になってしまったシュラが思わず叫び、デスマスクに尋ね返される。
「ミロにそんなこと言われたのかよシュラ」
「う……まあ、シャカと戦ったあとだったから、あいつやアイオリアが怒るのも無理もないと思ったが……」
「おいおい……ムウだのシャカだのサガだのどころか、実はミロが一番やばくねぇか? あの野郎、何も考えてない天然脳筋バカと見せかけてどんだけ油断ならねーんだよ……ハーデスの影響で黒ミロでも覚醒したら誰が止める?」
ため息混じりのデスマスクの言葉に、そこに居た全員の視線が、期せずして一人に集中した。
その一人の肩にサガがそっと手を置き、静かに告げる。
「…………カミュ、お前には気の毒だが、万が一のときはまかせたぞ」
「任せないでくれサガ!あなたにそんな真顔で言われたら、私は今後ミロとどうやって友情を維持していけばいいんだ!?」
「そういえばお前、アテナが自害に見せかけた時、激昂したミロに本気で殺されかけていたような……」
「私は……私は、あなたに従って、かつて愛弟子たる氷河と戦い、もうひとりの愛弟子アイザックはクラーケンの海将軍となって私の許から失われた……だが、二人に全てを受け継がせたと思ったからこそ、ハーデスとの戦いでは、涙を飲んであなたとともに逆賊の汚名を着ることも受け入れたのだ。だが、いや、それだからこそ、この上、再びミロとまで戦えるはずが……っ!!」
「なんだか本当に哀れになってきたな……悪かった、カミュ。だから聖衣を冥衣化させるのはまだ早いぞ」
サガは心の底から、この気の優しすぎる戦友を巻き込んだことを、後悔せずにはいられなかった。
その二人のやりとりを聞きつけたのか。
それまで外野の無駄話を意に介さぬまま、シオンと対峙していたミロ=ハーデスが、もう一度そちらを振り返り、冷ややかな微笑をひらめかせた。
「水瓶座の黄金聖闘士は、今度は自らの意思でこのハーデスの前に膝を折るか? ふふ、よかろう。そなたの操る力は我々冥界のものとも相性が良い。いま余の媒介となっているこの蠍座の黄金聖闘士ともども、冥王軍の最高位をもって迎えようぞ」
「ならばハーデス。私はこの魚座の聖闘士と、シードラゴンのカノンをあらためて海将軍としてこちらへ頂くことにしよう。そのくらいの報償は要求しても構うまい。今後、聖域が我々と協力関係を築き、三界並び立って天界の脅威に立ち向かうつもりであるならばだが」
アフロディーテ=ポセイドンが続ける。
「コラ勝手に決めんなよてめぇら!」
「いかがかな、教皇シオン。これらの条件を呑むというなら、我々も、お前たちをこの封印から解放してやらぬでもない」
見た目全く変化なしのアフロディーテの姿に油断したデスマスクの言葉は、華麗にスルーされた。
シオンは軽く苦笑したようである。
「申し訳ないが、海皇ポセイドンよ。私はあくまでアテナ不在の際の地上代行者であり、アテナを補佐する立場。貴方がたの言い分もわかるが、アテナの意を汲まずにそこまでする権限はない。それはアテナに直接交渉していただかねば」
「直接?それはアテナが今、地上の支配権を月の女神アルテミスに剥奪されていると知って言うのか?」
「……なんだと? アテナが!?」
一同に再び驚愕の色が拡がった。
更新日:2013-01-01 20:39:50