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Chapter.5 水瓶座は苦難の運命に泣く
つまりこういうことである。
アナザーディメンション+ゴールデントライアングルで、無理やり次元の穴をこじ開ける。
穴が開いたら強引に六道に繋ぐ。
繋がったら積尸気冥界波で黄泉比良坂の関門を力ずくで破る。
ここまではいい。
そのあと、シャカが「引きずり出す」と言った「狙った魂」がハーデスとポセイドンのものだとは、さすがに実行者たち以外は誰も予想していなかった。
しかもそれを捕まえて、幻朧魔皇拳を使ってミロとアフロディーテに憑依させるなど、想定外にもほどがあった。
「いや……しかし、いろいろ疑問はあるが、なんでミロとアフロディーテなんだ?」
「そうだな……と、言うか、双子がお互いに幻朧魔皇拳を撃ち合ってハーデスとポセイドンになったほうが納得するんだが……」
「いや兄さん、それはそれで、なんかもう手のつけようがなくなる気がする……」
アルデバラン、アイオロス、アイオリアが口々に疑問を表明するのに、シオンは笑った。
「次期教皇候補のアイオロスまでが、そのようなことを言うのでは困るな。双子座および乙女座の支配星は水星、つまり伝令と商才と弁舌の神ヘルメスだ。ハーデスやポセイドンの力を受け容れる素地がない」
「星座の支配星、ですか?」
アイオロスのみならず、他の者たちも首をひねった。
「そうだ。黄金聖闘士の十二の星座は、他の星座と異なり、それぞれ神の名を冠する支配星を持つ。つまり、アテナ以外の神の影響をも受け、いく分かは同質の力を持つということだ」
「そう言われれば、双子もシャカも、わけはわからんが妙な説得力で喋りまくってひとを丸め込んだり押し切ったりするな……」
この感想は、シュラである。
「アフロディーテはその名の通り、金星かと思ったが……ポセイドンが憑依したということは、魚座の支配星は海王星か?」
「じゃあ、金星はどの星座だろう?」
アイオリアが疑問を口にし、シオンは律儀に返答した。
「牡牛座、アルデバランだ。天秤座の童虎もだな」
「………………………………似合わねぇ( ̄□ ̄;)」
アルデバラン本人はもちろんのこと、ほとんどの者が同じ反応になるのもむべなるかな。
「い、いや、そう言うな。アルデバランと老師が実は面食いだと言うなら話が通るぜ」
デスマスクがフォローを試みたが、シュラの反問を引き出すだけ藪蛇であった。
「そう言う蟹、お前はなんだ?」
「蟹座は確か、月だったはずですね」
師匠仕込みの知識をムウが披露する。
「……それもまた、び」
「ああそうだよ微妙だよ! 世の中には言わんでいいことがあるだろムウよ! 月に代わってオシオキすんぞてめぇ!」
「言われる前に自分で言いながら遮って、しかもオチまでつけたか。もはや捨て身だな」
「お主は土星じゃのう、シュラよ」
知識量ではおそらく他者を凌ぐであろう老師ライブラの童虎が、なぜかにこやかにシュラに近づいた。
「土星はサトゥルヌス、ギリシアに於いてはクロノスじゃ。時間の神じゃが、農耕神でもある。お主、もしも現世に戻れたら、わしや紫龍とともに五老峰に来ないか? 二人のエクスカリバーで作物の刈り入れをすれば捗るじゃろう」
「お断りします!」
速攻で拒絶するシュラであったが、アルデバランなどは異なる見解をもったらしい。
「それはそれで妙にお前らしいような気もするが、すると、牡羊座は……」
「私とシオンの牡羊座は火星です」
「火星はどの神に相当するんだ?」
「軍神マルス、つまりアレスですが、それが何か?」
「……何かってお前それは……」
ハーデスやポセイドンに負けず劣らずの、アテナの宿敵たる神の名を聞いて、かなりの者が怯んだが。
「ある意味、わかる……」
「シャカやサガとは別の意味で、こいつも怒らせるとかなりまずいからな……」
とはアイオロス・アイオリア兄弟。ことに片手で拳を止められたことのあるアイオリアは、ムウがキレると手に負えないことをよく知っていた。
「何気に裏切りフラグかよ。親羊が実行してる当たりが笑えねぇ」
「なにか言いましたかデスマスク」
「いやいやいやなんでもねぇよ」
「いえ、お礼を申し上げますよ。ハーデス軍に寝返った、もとい寝返ったふりをしていただいたのが、あなたやアフロディーテやシュラで助かりましたから。それがうっかり、私やシャカやミロなら、どうなっていたでしょうねぇ」
早速、キレさせるとまずい片鱗を見せつけるムウである。
「にっこり笑って不吉なことを言うんじゃねぇこの腹黒子羊! お前はシオンに頭あがらねぇし、この状況を見ればミロの支配星は冥王星、つまりハーデスの影響受けまくりってことだろうが!!」
さすがのデスマスクも、危機感を帯びた声をあげた。
アナザーディメンション+ゴールデントライアングルで、無理やり次元の穴をこじ開ける。
穴が開いたら強引に六道に繋ぐ。
繋がったら積尸気冥界波で黄泉比良坂の関門を力ずくで破る。
ここまではいい。
そのあと、シャカが「引きずり出す」と言った「狙った魂」がハーデスとポセイドンのものだとは、さすがに実行者たち以外は誰も予想していなかった。
しかもそれを捕まえて、幻朧魔皇拳を使ってミロとアフロディーテに憑依させるなど、想定外にもほどがあった。
「いや……しかし、いろいろ疑問はあるが、なんでミロとアフロディーテなんだ?」
「そうだな……と、言うか、双子がお互いに幻朧魔皇拳を撃ち合ってハーデスとポセイドンになったほうが納得するんだが……」
「いや兄さん、それはそれで、なんかもう手のつけようがなくなる気がする……」
アルデバラン、アイオロス、アイオリアが口々に疑問を表明するのに、シオンは笑った。
「次期教皇候補のアイオロスまでが、そのようなことを言うのでは困るな。双子座および乙女座の支配星は水星、つまり伝令と商才と弁舌の神ヘルメスだ。ハーデスやポセイドンの力を受け容れる素地がない」
「星座の支配星、ですか?」
アイオロスのみならず、他の者たちも首をひねった。
「そうだ。黄金聖闘士の十二の星座は、他の星座と異なり、それぞれ神の名を冠する支配星を持つ。つまり、アテナ以外の神の影響をも受け、いく分かは同質の力を持つということだ」
「そう言われれば、双子もシャカも、わけはわからんが妙な説得力で喋りまくってひとを丸め込んだり押し切ったりするな……」
この感想は、シュラである。
「アフロディーテはその名の通り、金星かと思ったが……ポセイドンが憑依したということは、魚座の支配星は海王星か?」
「じゃあ、金星はどの星座だろう?」
アイオリアが疑問を口にし、シオンは律儀に返答した。
「牡牛座、アルデバランだ。天秤座の童虎もだな」
「………………………………似合わねぇ( ̄□ ̄;)」
アルデバラン本人はもちろんのこと、ほとんどの者が同じ反応になるのもむべなるかな。
「い、いや、そう言うな。アルデバランと老師が実は面食いだと言うなら話が通るぜ」
デスマスクがフォローを試みたが、シュラの反問を引き出すだけ藪蛇であった。
「そう言う蟹、お前はなんだ?」
「蟹座は確か、月だったはずですね」
師匠仕込みの知識をムウが披露する。
「……それもまた、び」
「ああそうだよ微妙だよ! 世の中には言わんでいいことがあるだろムウよ! 月に代わってオシオキすんぞてめぇ!」
「言われる前に自分で言いながら遮って、しかもオチまでつけたか。もはや捨て身だな」
「お主は土星じゃのう、シュラよ」
知識量ではおそらく他者を凌ぐであろう老師ライブラの童虎が、なぜかにこやかにシュラに近づいた。
「土星はサトゥルヌス、ギリシアに於いてはクロノスじゃ。時間の神じゃが、農耕神でもある。お主、もしも現世に戻れたら、わしや紫龍とともに五老峰に来ないか? 二人のエクスカリバーで作物の刈り入れをすれば捗るじゃろう」
「お断りします!」
速攻で拒絶するシュラであったが、アルデバランなどは異なる見解をもったらしい。
「それはそれで妙にお前らしいような気もするが、すると、牡羊座は……」
「私とシオンの牡羊座は火星です」
「火星はどの神に相当するんだ?」
「軍神マルス、つまりアレスですが、それが何か?」
「……何かってお前それは……」
ハーデスやポセイドンに負けず劣らずの、アテナの宿敵たる神の名を聞いて、かなりの者が怯んだが。
「ある意味、わかる……」
「シャカやサガとは別の意味で、こいつも怒らせるとかなりまずいからな……」
とはアイオロス・アイオリア兄弟。ことに片手で拳を止められたことのあるアイオリアは、ムウがキレると手に負えないことをよく知っていた。
「何気に裏切りフラグかよ。親羊が実行してる当たりが笑えねぇ」
「なにか言いましたかデスマスク」
「いやいやいやなんでもねぇよ」
「いえ、お礼を申し上げますよ。ハーデス軍に寝返った、もとい寝返ったふりをしていただいたのが、あなたやアフロディーテやシュラで助かりましたから。それがうっかり、私やシャカやミロなら、どうなっていたでしょうねぇ」
早速、キレさせるとまずい片鱗を見せつけるムウである。
「にっこり笑って不吉なことを言うんじゃねぇこの腹黒子羊! お前はシオンに頭あがらねぇし、この状況を見ればミロの支配星は冥王星、つまりハーデスの影響受けまくりってことだろうが!!」
さすがのデスマスクも、危機感を帯びた声をあげた。
更新日:2012-07-04 17:59:05