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男子が苦手な女子vs女子に興味がない男子

 夏の暑い一日だというのに、何で僕はこの女の子だけと一緒に居るのだろう?と言うか、この状況は一体何なのだろうか?これは他の保健体育委員が、何らかの意図でそうしたとしか言い様が無い。どういうつもりだ?あの二人。

 保健室には僕のほかにもう一人、阪本あきらという女の子が居る。休み時間の保健室、僕を見るなり、驚きと恐怖の感情を浮かべて
「あ、頭、い、い痛いです」
と僕に知らせてくれた。普段こういうときだったら、周りに助けてもらいながら対処するのがいいのだが、何しろ今日保体委員で保健室来たの僕だけだから、どうやって対処すればいいのか、しかもよりによってあの阪本だ。
 先生は居ないし、保体委員という事で唯一来れた僕が診てるのだが、阪本は一向に話しかけてこない。何か物を取りに行こうとしても
「私が取る!」
と言い出して聞かない。薬だって、本当は1錠飲むのが適量だって書いてあるのに、慌ててるのか2錠飲んじゃったし。この薬って、眠くなりやすいんだよなぁ。
 ベッドの用意も僕がするのを見て
「私がやるから下がってて!」
と言われた上、何だかえらい剣幕だったから、引き下がってしまった。ベッドで横になるときも無言のプレッシャーをかけて「私は寝るんだけど、何見てるの?」と言いそうな表情で僕を睨んでた。体調が悪いから安静にするべきなのにね。

 まぁ、こんな事になるのも無理はない。阪本は元々大人しい性格の上に「男性恐怖症」だとも言われてる。家族が、特に父親が厳格な性格で、それが原因で男の人は怖いと意識づけられてしまったようだ。正直僕でもどうやって接したらいいかわからない。下手に近づいたら、殴ってきたり、物を投げつけたりするだろうから、一言で言ってしまえば、戦々恐々としてる。
 以前から、阪本狂暴伝説は噂に聞き、この眼で見ている。昨日も、わざと阪本に触った男子生徒が、阪本の叫び声の後、思いっきり顔面パンチをお見舞いされた。なぜか周りで男子が
「さよならー!来世で会おうなー!」
と叫んでるのも聞こえた。
数分後、その男子生徒は意識を取り戻したが、阪本に殴られた記憶が無いと言っていた。相当強いんだろうな、阪本の打撃攻撃は。
 こんな調子で大丈夫だろうか?頼むから、早く休み時間終わって!!そして保健室の赤崎峯子先生早く帰ってきてー!

更新日:2012-05-17 23:03:08

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