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NO.8 奄美剣星 愛について『隻眼の兎の憂鬱』

十六歳というのは恋に恋する年頃だ。桜が咲いたりちったりする頃、人と別れたり出会ったりするのだそうだ。出会いといえば――

私の家は港がみえる高台にある。南欧風の石壁と三角屋根の街並みをしている。竹刀を背負ったブレザーの少女が、長い坂道をギコギコと自転車で登って行く。繰り返される昼下がりの光景だった。街並みと無関係に道路わきは桜樹が植えられ咲き誇っている。その人と出会ったのも、部活の帰りだったことを記憶している。

ブロロロロ、キキーッ。

「やあ、有栖川君」

「……」 汗。

サイドカー仕様のスズキKATANA。コクピットに収まっているのが隻眼の兎・ギルガメッシュ、ライダーがサーベルタイガー・エンキドウ。

恋の対象外だった。

更新日:2012-04-15 06:26:22

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