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「は~い、お待たせ~いたしました~。こちら大根とジャコのパリパリサラダになりま~す。手作りざる豆腐と……あっすいません……厚焼明太玉子で~す」

「すいません、生おかわり2つ下さい」智子はいつものように注文した。

「智子、ハワイはどうだったの?」
「今回は親孝行が目的だったからネ~。でも喜んでくれて、やっぱり行って良かった。親孝行はできる時にやっておかないとね」

「うんうん」
私はポン酢を入れた器を配りながら頷いた。

「は~い、こちら炙り竹串つくねと手羽先餃子になりま~す。以上でよろしかったでしょうか~? は~い、ごゆっくりどうぞ~」

「あっそうそう、出発する時にね、JALのお偉いさんが来て、帰りの便を変更してもらえないかって言われて」
「うんうん、そんで?」

「もちろん冗談じゃないって言ったのよ。そしたら帰りの便はビジネスクラスをご用意させていただきますって言うから、両親とも相談してOKしたの。そして、これはほんのお礼ですって、封筒に現金が入ってたの」

「へ~」
「ダブルブッキングって結構多いみたいよ」
「すいません、生2つ」今度は私が注文した。

「ハワイと言えば……」

淳君が手羽先餃子を口にくわえながら切り出した。

「行った事あるの」
「……いえ……ないですけど……」

口をモグモグさせながら、右手でないないと否定した。

「な~んだ」
「ハワイ諸島は、どうやって出来たかご存じですか?」
「え~? ……火山噴火?」

「ホットスポットっていうマグマが吹き上がってくる場所があって、そこで火山が出来て、さらに太平洋プレートという大きな岩盤が移動して、いくつもの島が出来たんです。北西にあるカウアイ島が一番古くて、南東にあるハワイ島が一番新しいんです」

と、身振り手振りで説明してくれた。

「え? ハワイって動いてるの?」

「はい、今でも年間6cmくらい、日本に近づいています。1億年後には日本にくっつくかもしれません」

「すいません、生2つ」
智子は空いたジョッキを掲げながら注文した。


更新日:2012-03-31 13:09:17

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