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4話

ある天気の良い休日。僕は千夜の部屋にいた。

休みの日に女の子の部屋。これだけだと大変結構なことだが,

あいにく千夜の部屋はそんな上等なものではなかった。

「相変わらず,ごちゃこちゃした部屋だな。どう考えても物をつめすぎだぞ」

この部屋,それなりに広いはずなのだが,全くそんな感じを与えない。

とにかく,ものが多い。一体何に使うのか分からない物であふれかえっている。

そこには「女の子の部屋」という記号的なときめきは存在しない。

あるのは,ただただ混沌とした空間だった。擬音で言うとゴルゴル。

今日はこれの片づけを手伝いに来たんだけど,どこから手をつけたものか。



「廉次!!これ見て!!これ見て!!昔のアルバムだよ!!懐かしいね!!」

千夜は役に立たないし。片付け手伝ってってお前が言い出したんだろうに。

しかも,片づけ中にアルバム見るってある意味死亡フラグバリバリな気がするんだけどな。

やる気あんのか。

「千夜,お前やる気あんのか?」

「あるよ!!」

「いーや,無いね!!なぜなら,今までお前がやったことと言えば昔の漫画を読んだことと小学校の時の教科書読んだだけだから!!

そんなもん読むなら今使ってる教科書読め!!」

「…………ふんっ!!」

「何で理不尽なこと言われた顔してんだよ!!どう考えてもお前の方が悪いよね!!」

こいつ僕一人にやらせる気か?

「まぁまぁ,これでも見てちょっと落ち着こうよ!!」

「お前の口調が落ち着けよ……」

何だかどうでも良くなってきて,千夜の差し出してきたアルバムを見ることにした。

片付け?そんなの後でやるって。

そうやって昔の写真を見ていると色々と懐かしいことを思い出してくる。

「これ小学校の時のか?へぇ,やっぱり小さいな」

「小学二年生だよ!!廉次がまだ可愛かった頃だね!!」

「お前もな」

「どういう意味よ!!」

千夜が怒っているが僕は決して悪口を言ったつもりはない。

本当に千夜は随分変わったのだ。可愛いかどうかはともかく。

そうやって考えると時間の流れというのは凄いものだな。

あの千夜がこうなるとは誰も予想できなかっただろう。

だって,あの頃の千夜は―



あの頃の千夜は今とは違い,かなり病弱だった。

冗談のように体が弱く,学校もよく休んでいて一緒に遊んだこともほとんどなかった。

しかも,無口で引っ込み思案。

僕は家が隣だったこともあって千夜と話すことが他のクラスメイトと比べると多かったけど,

それでも会話はほとんどなかったように思う。まぁ,ほとんど興味ない奴だったんだよね。



更新日:2012-06-13 20:14:17

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