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3話 番外編一

「はじめに言っておくと,今回のは番外編だよ」

ピエロの格好をした男が何か言っている。

「本編との関連は今のところ確認されていないよ。

次の話が始まるまでの場つなぎだよ」

「ちょっと待て。何の話をしてるんだ」

「まぁまぁ,細かいことは言いっこなしで。

夢のように愉しい時間を過ごしてみてよ」



桃から生まれた。



あれ?今,桃から生まれたよ?

「あら,何かと思えば高都じゃない。

桃から生まれてくるなんてそんなに人間やめたいのかしら」

「高都君,私,桃から人が出てくるとこと初めて見ました」

声がしたほうを見ると,同じ学校に通う神城葯(かみしろやく)と

スージー・B・キャンドルさんだった。

「二人ともなにしてんの?」

本当になにやってんだ?っていうかここはどこだ?

「まさか,生まれて最初に吐く言葉が反抗的なものだとは。

これからの人生には絶望しかないわね。私はあなたのおじいさんよ」

「私はおばあさんですわ」

二人がそれぞれ答えてくれたけど,意味がよくわかりませんよ?

「何を呆けた顔をしているのよ,高都。

今からあなたの生まれた経緯と存在意義を教えるわよ。

短く済むからおとなしく聞きなさい」

神城が偉そうに言ってきた。人の存在意義を短く語るなよ。



それから聞かされた話は,次のようなものだった。

神城が山へ散歩に出かけ,スージーさんがぬいぐるみ屋さんに行くと桃が流れてきた。

その桃を割ると僕が出てきた。

僕はこれから,きびだんごを持って鬼が島に鬼を退治に行くらしい。

「何で二人とも働いてないんだよ!!あと,ぬいぐるみ屋に流れてくる桃って何なんだよ!!」

「細かいことは気にしたらダメですわ。はい,これ,きびだんごと地図。

それでは,高都君。おばあさんはおじいさんと一緒に高都君の帰りを待ってますわ」

「きびだんご持たされて鬼退治に行けってことにも疑問満載なんだけど,それ以上におじいさんの配役に疑問を抱かずにはいられないんだよな……」

こうして,僕はおじいさんとおばあさんに見送られ鬼退治の旅に出かけたのだった。

<続きます>


更新日:2012-03-23 07:11:19

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