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第三章  待遇

避雷針から..ファーストラブ オリジナル
http://blogs.yahoo.co.jp/kome125/folder/1498311.html


事件から二十日後の城南高校にて....
 
あの事件以来、屋上に生徒は立ち入りを禁じられ、鍵が掛けられた。
 
今日二十日ぶりに聡は、学校に復帰する。
 
聡は検査のため、授業を後れて出てくる予定になっていた。
 
そして聡は、学校の 門の前に佇んでいた。
 
聡はためらっていた。
 
普通の常識では考えられない事態が、自分に降りかかっている事に。
 
そう..特殊能力。
 
ふと聡は、門から学校を見上げた。
 
何時もと変わらぬ風景も聡にとっては、何処か大きく違う感覚に襲われていた。
 
それは人の心が見える恐怖。心に重く伸し掛かるのであった。
 
佇んでいると背後から、ちゃり~んちゃり~んと、自転車のベルの音が聞こえた。
 
ふと後ろを振り向くと、自転車に乗った隣のクラスの、能天気な加藤が、

ママチャリに乗ってスッ!と、聡の横に止まった。聡の肩に手を添えて、

「よぉ~聡、助かったって!ラッキーだったなぁ~!それじゃ~学校で...」。

そう言って何食わぬ顔して、学校の門の中に消えて行った。
 
聡はその加藤の一言で、少し気が楽になったか..徐に学校の門を潜った。

校舎に入ると、何時もの様相を漂わせている、この空間の雰囲気を受け止めていた。

そして、自分の下駄箱の扉を開いた。
 
すると右片方の、上靴だけ無い..。

「あれ..?そうか..!まあいいや」。そう囁くと聡は、あの時の屋上が蘇り、恐怖で体が震えた。

仕方なく左足だけ上靴を履いて、階段を上り自分の教室が在る二階に向かった。
 
二階に辿り着くと、自分の教室の組が書いてある、プレートを見つめた。

ボーっと見えていた、焦点がゆっくりと合って行く、

すると少し文字がかすれた2-3の文字が、見えた。

聡は、ゆっくりとその教室に向かう。 静まり返った校舎、一人廊下を踏み出す聡。
 
自分のクラスにたどり着いた聡は、廊下から扉のガラス戸越しに、授業風景を眺めていた。

それは見慣れた授業風景。何時もなら、遅れて教室に入って行っても、おどけていた聡..。

だが今は、境界線が張られている様な感覚に、襲われていた。
 
聡はその授業風景を、ガラス戸越しに見つめていた。
 
しばらくするとこの教室の、一番前の席の入り口に近い男子生徒が、

ふと入り口の方に顔を向けると、“はっ”と、した顔をしながら、

徐に隣の席の女子生徒に、話し掛けている。  
 

更新日:2012-02-29 20:37:08

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