- 8 / 112 ページ
運命を変えた1通の手紙
その日、俺は自宅にいた。
学校から帰った後で、服を着替えて2階から1、2段降りている時に、丁度、目の前の玄関の郵便受けから『カッコン』と郵送物が投函された音がして、原付きバイクの走り去る音がした。
何気なく、覗き、2〜3枚の郵便物を手にした。
その中の1通は『真っ黄色』の封筒で、宛名が俺になっていた。
『んっ?…何だろう…』
手紙の裏面を見ると、差出人の場所には『株式会社ジャニーズ事務所』となっている。
『!はっ?!!』
他の郵便物を玄関の棚に放り投げ、急いで2階の自分の部屋に戻り、ハサミを使って丁寧に開封をした。
中から三つ折りにされた、1枚の手紙が出てきた。
広げて見るとそこには…
『ヨッちゃんバンド、メンバー募集!』
と印字された文字が飛び込んできた。
『ヨッちゃんこと、野村義男がバンドのメンバーを大募集しています。』
と、あり『オーディションを行います』と印字されていた。
場所は赤坂TBSホール、そして時間などが記されていた。
『……オーディション。』
もちろん、生まれてこのかた、オーディションなど受けた事はない。
一体何で送られて来たのだろうか…?。
この時はまるで見当がつかなかった。
『ジャニーズ事務所のオーディション!?』
受けるべきか、それとも…。
書面には『得意な楽器の腕を思う存分、披露して下さい。』とあった。
とりあえず、ギターは弾けるが、ストロークが出来る程度である。
自分で弾き語りをするなら、良いが、『バックバンド』が出来る程、演奏の技術は持ち合わせていない。
アルバイトをして購入した『モーリス』のフォークギターと『グレコのジェフベックモデル』と言うエレキギターを持ってはいたが、もっぱら、『ゴダイゴ』の『galaxy express 999』をストロークで弾いて、歌っていたぐらいだ。
今は部屋の片隅で埃を被っている。
夜になり、彼女に電話をしてみる。
2回コールして、電話を切る。
直ぐに同じ『ダイアル』をかけ直す。
これが『俺から』の電話の合図だった。
昔ながらの『黒電話』で『リダイアル』なんて機能は持ち合わせていない。
2回鳴らして切ると次のコールの2回目には彼女が出る。
『もしもし!』
案の定、彼女が出た。
いつものように、明るく、弾むような、それでいてちょっとハスキーな声だ。
『俺だけど…実はさぁ…ちょっと話しがあって…』
と、唐突に『例の件』を話し始めた。
自分では『クール』に、どうしようか?悩んでいたつもりだった。
しかし、浮かれていたのは俺の方で、彼女は冷静だった。
『あなたはどうしたいの?』
と、聞いてきた。
『駄目もとで受けてみようかな…と思ってる。』
『じゃあ、答えは出てるじゃん。』
やや冷めたように間をおいて、答えた。
『そっか…』
『受かろうと受かるまいと、やれるだけやれば、後悔しないでしょ。』
と、優しい声が受話器の向こう側から聞こえた。
彼女の言う通りだった。
礼を言い電話を切った。
あれこれ考えても始まらない。
オーディションに行く事にした。
その日、俺は自宅にいた。
学校から帰った後で、服を着替えて2階から1、2段降りている時に、丁度、目の前の玄関の郵便受けから『カッコン』と郵送物が投函された音がして、原付きバイクの走り去る音がした。
何気なく、覗き、2〜3枚の郵便物を手にした。
その中の1通は『真っ黄色』の封筒で、宛名が俺になっていた。
『んっ?…何だろう…』
手紙の裏面を見ると、差出人の場所には『株式会社ジャニーズ事務所』となっている。
『!はっ?!!』
他の郵便物を玄関の棚に放り投げ、急いで2階の自分の部屋に戻り、ハサミを使って丁寧に開封をした。
中から三つ折りにされた、1枚の手紙が出てきた。
広げて見るとそこには…
『ヨッちゃんバンド、メンバー募集!』
と印字された文字が飛び込んできた。
『ヨッちゃんこと、野村義男がバンドのメンバーを大募集しています。』
と、あり『オーディションを行います』と印字されていた。
場所は赤坂TBSホール、そして時間などが記されていた。
『……オーディション。』
もちろん、生まれてこのかた、オーディションなど受けた事はない。
一体何で送られて来たのだろうか…?。
この時はまるで見当がつかなかった。
『ジャニーズ事務所のオーディション!?』
受けるべきか、それとも…。
書面には『得意な楽器の腕を思う存分、披露して下さい。』とあった。
とりあえず、ギターは弾けるが、ストロークが出来る程度である。
自分で弾き語りをするなら、良いが、『バックバンド』が出来る程、演奏の技術は持ち合わせていない。
アルバイトをして購入した『モーリス』のフォークギターと『グレコのジェフベックモデル』と言うエレキギターを持ってはいたが、もっぱら、『ゴダイゴ』の『galaxy express 999』をストロークで弾いて、歌っていたぐらいだ。
今は部屋の片隅で埃を被っている。
夜になり、彼女に電話をしてみる。
2回コールして、電話を切る。
直ぐに同じ『ダイアル』をかけ直す。
これが『俺から』の電話の合図だった。
昔ながらの『黒電話』で『リダイアル』なんて機能は持ち合わせていない。
2回鳴らして切ると次のコールの2回目には彼女が出る。
『もしもし!』
案の定、彼女が出た。
いつものように、明るく、弾むような、それでいてちょっとハスキーな声だ。
『俺だけど…実はさぁ…ちょっと話しがあって…』
と、唐突に『例の件』を話し始めた。
自分では『クール』に、どうしようか?悩んでいたつもりだった。
しかし、浮かれていたのは俺の方で、彼女は冷静だった。
『あなたはどうしたいの?』
と、聞いてきた。
『駄目もとで受けてみようかな…と思ってる。』
『じゃあ、答えは出てるじゃん。』
やや冷めたように間をおいて、答えた。
『そっか…』
『受かろうと受かるまいと、やれるだけやれば、後悔しないでしょ。』
と、優しい声が受話器の向こう側から聞こえた。
彼女の言う通りだった。
礼を言い電話を切った。
あれこれ考えても始まらない。
オーディションに行く事にした。
更新日:2012-02-25 15:40:45