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DISCOとダンスと哀愁でいと

春を迎え、高校2年になった。

『学校を辞めて、叔母さんの店で水商売をして、働きたい。』

と親に言った。

親父に殴られるかと思ったが、母親が泣き出し、親父は冷静に『お前を高校に入れるのに百万以上かかったんだ。辞めたいなら、今、ここに百万円置いて、学校辞めて、家から出ていけ!』

と、言われた。

ズシンとこたえた。

返す言葉も無かった。


両親は共働きで、決して裕福な家庭ではない。

高校の入学費用に掛かったであろうお金も、苦労して出した金であろう。

スゴスゴと退散せざるをえなかった。

自分の愚かさ、情けなさ、惨めさ、浅はかさに落ち込んだ。

部屋に戻り自分のダサさに憤慨し、どうすることも出来ずにギターを掻き鳴らした。


しかしこの件がきっかけと言う訳では無いだろうが、人生が少しずつ動き始めた。

先ずは、学校では新学期が始まるに当たりクラス替えがあり、1年のクラスメイトは殆どいない新しいクラスになった。

それまで付き合っていた悪友から、新しく付き合い始めた友達の影響があり、俺も変わりだした。

どちらかと言えば、『ツッパリ』だった悪友から今風に言えば『チャラい』仲間と付き合い始めたのだ。


授業の合間に『俊ちゃんスゲーよ!』と言っては、『田原俊彦』の振り真似をする奴がクラスにおり、皆を笑わせていた。
『哀愁でいと』でデビューしていた田原俊彦の『足あげ』を真似をするのだが、高く上がらない。

歯をくいしばり、『ふんっ!』と上げるのだが、足首も膝も曲がって胸元までしか上がらない。

と、涼しげな顔で『♪バイバイ哀愁でいと〜♪』と歌って踊るのだ。

皆が大爆笑をしている。
と、急に『お前もやって見ろよ!』と言われて、やらされる羽目になった。

7人〜8人が輪になっている真ん中に引っ張り出された。


空気を壊すのも嫌だし、仕方なく、何となく、覚えていた振りを真似、足を上げてみた。

すると、顔を蹴りそうになるぐらいに足が上がった。
これには自分が一番驚いた。

『おー!』『スゲーじゃん!』と歓声が上がり、『俊ちゃんみたい!』と言われて、満更でもなく、思った。

『足を上げる』何て事はしたことも無かった。

自分で驚いていると…

『なあ、今週の土曜日、皆でDISCOに行こうぜ!』

と、友人の1人が言った。

『おー!行こう!行こう!』と、盛り上がり、その場にいた男7人で週末DISCOに行く事になった。


更新日:2012-02-23 20:43:24

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