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ある家の前に1人の少女が立っている。

カモメの描かれた望遠鏡を手にしている、金髪の少女だ。

名前はアリルという。

「にいちゃ〜ん!」

一度呼び、見張り台の方角に向かって歩き出す。

「にいちゃ〜ん!!」

もう一度、先ほどよりも大きな声で呼び、望遠鏡で周囲を見回す。
そしてまた、見張り台に向かい、ハシゴを登った。

「にいちゃん!」

そこでは、アリルと同じ金髪の少年が昼寝をしていた。

彼の名前はリンク。

リンクは目を覚まし、声のした方を見るが、誰もいない。

大きく伸びをしていると、
「やっぱり、ここだ!」

後ろからアリルに声をかけられ、少し驚く。

「へへっ
だって、アリルも
ここから海を眺めるの、好きだもん!」
と言い、微笑んだ。


「ねえ、にいちゃん
今日は、何の日かおぼえてる?」

リンクはまだぼーっとしていた…

「…にいちゃん まだ、寝ぼけてるね」

とアリルが苦笑いを浮かべ、
「忘れちゃったの?」

「今日は、にいちゃんの誕生日だよ!」
そう言われ、リンクはハッとする。

「だから、ばあちゃん さっきからずっと、お家でにいちゃんが帰るの 待ってるのに!」
という説明を、リンクは照れくさそうに頭をかきながら聞いた。

「よかった、探しに来て」

「ねえ、にいちゃん 早くお家に帰ってばあちゃんにあっておいでよ」

リンクは自宅を目指して歩き出した。

自宅の前で、鼻水を垂らした少年、ヂルが話かけてきた。

「なあ、なあ リンクのばあちゃん 呼んでたで ウチのかあちゃんも 呼んでたで!」

かあちゃんというのは、ここから坂を登ったところに住んでいる、ロースおばさんのことだ。

ひとまずロースおばさんに会いに行くことにした。

「リンク 今日は誕生日なんだろ? おめでとう!」

ロースおばさんが祝ってくれた。

「今日はめでたい日だねぇ」

「ウチも今日ようやく小屋が完成したんだよ」

「ここに動物でも飼おうかと思ってさ 子供たちも喜ぶし」

ロースおばさんは動物好きで有名である。

「どんな動物がいいんだろうね? いいのがいたらココに連れて来てよ」


「おばあちゃんには内緒でおこづかいあげるからさ!」
プロロ島には野ブタが三匹いる。それでいいだろう。
まずはすぐ近くで一匹捕まえ、小屋に入れる。

更新日:2012-02-17 23:34:17

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