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第七章 訳

オリジナル:http://blogs.yahoo.co.jp/kome125


利奈は次の日の午後から、東京都内の関連会社に、


石塚と営業に出かけた。


電車を乗り継ぎ、小売や問屋へと、


商品の売れ行きの、データーを取りに出かけた。


やはり今年は、ノンアルコールの売れ行きが良く、


早い時期からの猛暑で、生ビールや発泡酒の売れ行きも、


去年に比べて倍は売れていた。


石塚は早速携帯電話で企画部に、その報告をしていた。


そして二人は青山通りを歩き、例の店の前を通り掛かった。


今日も入り口の扉には、Close のパネルが掛けられていた。


石塚はそれを見て、「ここですか」と、店を指差した。


利奈は頷き、「どうして今日も休んでいるの」と、怯えた。


石塚は躊躇う事も無く、「それは多分、挙式が入っていて、


式場に行っているからですよ」と、答えると、利奈は俯いた。


石塚はそれを見て、「大丈夫ですよ、


心配する事は無いって」と、利奈の肩を軽く叩いた。


すると遠くから、誰かが利奈の名前を呼んだ。


二人は振り向くと、黒いバックを脇に抱えた光秀だった。


光秀は二人の前に来て、「利奈、ここへは来るなと言ったろ」と、強く咎めた。


利奈、「どうしても、訳を聞きたいの」と、強く出ると、


光秀は、「迷うだけだろ、この世の中には、知らなくてもいい事だって有るんだ、


あの女性は『幸せになりなさい』と、お前に告げたのだろ、


俺達は 一生幸せに成れるで有名な、


神話を語る店の店主から、認められたのだから、


何故そんなに頬を触られた事を、気にするんだ」と、呆れていた。


利奈、「リベンジの意味を、知りたいだけなの」と、呟くと、


石塚は二人の仲に入り、「あのー、ここで話すのはいささか、


歩いている人に男女関係で、揉めている様に見られるので、


近くのファミレスで、お茶でも飲みながら、話をしませんか」と、問いかけると、


利奈と光秀は納得した様子で、近くのファミレスに、足を運んだ。


そしてファミレスにて、三人はアイスコーヒーを飲んでいた。


そして利奈が、「ねえ、なんでこんな所、フラフラしていたの」と、尋ねると、


光秀はアイスコーヒーを飲みながら、


利奈の顔を伺い、「そのセリフは、俺が言いたいよ、


理由は解っているけど、そのリベンジの意味を店主に、


聞きたいからだろ」と、問い掛けると、


利奈は、「だから、気になるからなの」と、顔を強張らせた。


石塚、「申し送れましたが、私し同じ会社の営業担当の、石塚と申します」と、


ズボンの後ろのポケットから、財布を取り出しその中から、


名刺を出すと光秀に渡した。


光秀は渡された名刺を見て、「いいねー、ビール会社は、今年の早くからの猛暑で、


ビールの売れ行きは、うなぎを通り越してロケット登りだって」と、ひがんだ。


石塚は躊躇いながら、「いや、今年限りだとは思いますが」と、謙遜した。


光秀はソファーにもたれて、「あーあ、いよいようちの会社も、


他の電気会社と合併だ、一応俺はリストラは間逃れたが、


多くの同僚や上司は、左遷や転勤リストラ、


今度合併する会社の説明会に、出向いて来た訳だよ」と、項垂れた。


石塚、「でも難を間逃れて、一安心ではないですか」と、慰めると、


光秀は、「入社当時は花形だった、ジェットエレクトロニクス、


今ではインドや韓国に、技術を持って行かれて、


国内でもジュースの自動販売機から、銀行のATM、更には会社名通り、


航空機の計器類からコンピューターまで、全てうちが引き受けていた。


でも海外の技術開発が進んで、更に安価な値段で引き受けると、


海外技術に負けて、業績を大幅に落として、あーあ飲食関連はやはり強い」と、


嘆いたのであった。


利奈はそんな光秀を見て、「結構会社では、優秀な社員なの」と、光秀を立てると、


石塚は利奈の方を見て、「だからリストラを、間逃れたのでしょ」と、悟った。


その時、光秀は上を向いて、「優秀とは言われても、大幅に減給されたけど」と、嘆くと、


石塚は、「海外からの、ヘッドハンティングを狙うとか」と、アドバイスをした。


光秀、「それは無理だ、来るならもうとっくの昔に、


海外の技術が、こんなに進化する前に、俺はハンティングされていた。


今ヘッドハンティングされる連中は、


特殊な開発をしている会社のクルーだけ、


在り来たりなエレクトロ技術の設計者なんて、


海外に五万と居るよ」と、気を落とした。


更新日:2012-02-05 14:12:41

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