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第四章 海

オリジナル:http://blogs.yahoo.co.jp/kome125


社内の企画部では、議論を交わしていた。


吉川、「今はノンアルコールが、復刻して爆発的ヒット商品ですよ」。


近藤は缶コーヒーを飲みながら、「20年も前から出しているが、


今になって突然売れ出すとは、皮肉だね」と、嘆いた。


恵美子、「近藤さん、ノンアルコールの品質向上にも、


携わって来たのでしょ」と、問い掛けると、


近藤は、「確かに味と質は、密かに研究来して来たが、


メインの新製品を押しのけて、今になって売れて来るとは、


思わなかったよ」と、呆れていた。


垣田、「この頃、一ヶ月位ちょっとコマーシャルを、多く流しただけで、


こんなに売れ行きが良くなるとは、思わなかったよ、


最初10年も前に資本を掛けて、売った時には、


誰も見向きもしなかったのに」と、腕を組んで悔やんでいた。


恵美子、「時代の流れで、飲酒運転の取締りが強化されてから、


ユーザーに広く、受け入れられる様になったのです」と、理解を求めた。


吉川、「何が幸いするか、解らないね」と、呆れ口調で答えた。


発泡酒の売り上げと共に、ノンアルコールのビールも、


この頃ではジュース感覚で、ユーザーには受け入れらて来ていた。


ビール会社だけに、今まではノンアルコールは、


ビールのついでに、製造されていた存在では有ったが、


売れ筋商品と位置づけられ、製品の向上を求められて来た。


今後はノンアルコールの、味の開発に着手する社員達で有った。


近藤は昼休み外で、会社の庭から見える海を見詰めていた。


それを見つけた恵美子が、そっと近藤の所に歩いて行った。


庭に佇み海を見ながら、


タバコを吸う近藤に恵美子は、「何か深い思い出でもあるのですか」と、


尋ねる恵美子に近藤は、「いや別に、ただ港はどんな時代でも、


切なく感じるのは何故かなと思ってね」と、呟くと、


恵美子、「何だかロマンチストですね」と、語った。


近藤、「別に格好を付けている訳では無いのだけど、何となくね」と、黄昏ていた。


恵美子、「もう結婚は、考えていないのですか」と、問い掛けると、


近藤は笑いながら、「おいおい、いきなり困るよ、


金も無いただのオジサンに、アプローチしても詰まらないよ」と、逃げ腰であった。


恵美子、「そんな意味では有りません、ただ聞いただけです」と、膨れた。


だが恵美子は、近藤にはその気まんまんな態度に見えた。


そして恵美子は、強制的に近藤と腕を組み、「今度また飲みに行きましょうよ、


私美味しい中華料理屋さん、新宿で見つけたの、


もちろん割り勘ですよ」と、嬉しそうに答えた。


近藤、「やれやれ、どう言う風の吹き回し」と、呆れた。


恵美子、「私、頼りがいが有る人が好きなのです」と、微笑んだ。


近藤はタバコを吹かしながら、「だから加齢臭がむんむん香る、


オジサンと呑むと、周りから悪く言われるよ」と、拒んだ。


恵美子、「そのタバコの香りが好きです。


だから加齢臭なんて、そのタバコの香りで、消されて匂いません」と、告げると、


近藤、「やれやれ、まさかこの年になって、言い寄られるとは、


思いもしなかったよ」と、困り果てた。


恵美子、「ノンアルコールも男も、寝かせて熟成させた方が、


味わい深いのです」と、微笑んだ。


近藤、「噂では聞いていたが、


現実にオジサン好みの、若い子って居るんだね」と、ため息を付いた。


恵美子はいきなり真顔で、「利奈の事が好きでしょ」と、単刀直入に質問した。


近藤は驚いて、「はあ、彼女にはまったく恋心は無いよ、


だって婚約者もいる事だし、第一前の妻が加藤訓の様な性格で、


男まさりで喘いだからね」と、嘆いていた。


恵美子、「それを聞いて安心した」と、はしゃいだ。


近藤はその時、恵美子の強引な態度に、弱ってしまったのであった。


すると何気なく、利奈が庭に佇んだ。


更新日:2016-12-26 17:36:48