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 そういう実態がわかるようになると、300年間見事に国を治めてきた歴代の王たちは確かに偉大と言える。
 
 また、歴代の王たちは自分のために贅沢をしたりはしていない。他国の王のように何人もの妃を娶ることもない。

 俺は王子だが、リオンのように洗濯まで自分でするまではいかないにしても身の回りのことは全部自分自身でする。
 着替えも入浴も自室の整理も剣の手入れもすべて。
 それは俺が王になっても変わることはないだろうし娶る妃も選びに選んだ一人だけだ。

 もちろん例外はある。
 跡継ぎだけは何が何でも確保せねばならないのでもしもの時は父と同じようにこっそりと妾妃を迎えることになる。

 父の弟は幼くして病死しているので俺に跡継ぎがなかったら王家の血は絶えてしまう。
 あのときはただただ憤ったが、今なら母上に申し訳ないながら妾妃を迎えることは正当な行為だとわかる

 父の妾妃は子をなすまでは城内に密かに住まわされていたらしい。
 エドワードは一度だけその女性を見たそうだが、真っ白い雪を思わせるような凄い美人だったそうだ。
 ただ彼女の存在は完全に隠されており、食事係が通うだけの寂しい暮らしぶりだったという。

 その女性は亡くなって久しいと言われているけれど、リオンが生きて地下に幽閉されていたのだから母親の方も生きている可能性はある。そう思って探したが結局見つからなかった 。

 考えたくは無いが実子のリオンに対してさえあの仕打ちなのだから、妹姫ヴィアリリスの生まれた今となってはその女性は始末されたのかもしれない。

 リオン自身は母親について何も知らなかった。
 『母』という言葉さえ知らないのだからそれ以上聞きようも無い。
 深く説明してリオンを傷つけるのもはばかられた。

 それからも俺は俺なりに様々な事を調べた。
 悪いとは思ったけれど母上が離宮に療養に行っている間に母上の部屋まで調べた。

 若い頃の父上が母上に当てたと思われるラブレターの束をベットの2重引き出しから見つけた時には思わず笑ってしまったが笑えないものも発見した。
 母上の昔の日記帳だ。

 そこにはこう書かれていた。

更新日:2013-09-30 12:09:41

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滅びの国の王子と魔獣(挿絵あり)