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7 長船
それからというもの、長船は、
まるで友達にでもなったかのように
スーパーやら道端やらで
早弥に声をかけてくるようになった。
「買い物、いつも草壁さんがしているんですね。
居候だから?」
「…志藤は少し加減が悪いんです、すぐ疲れてしまうので。
だから僕が。」
早弥はいつも
なるべく素っ気なく応えることにしていた。
「ご病気ですか。」
「…関係ないでしょ。」
「少し荷物持ちますよ。重いでしょう。」
「結構です。こんなものどうってことは…うっ…」
買い物荷物には、おかずのほかに、
酢のびんと味噌としょうゆとみりんと
牛乳と上白糖とが同時に入っていて、
あまりたくましいほうでない早弥には確かに重かった。
「ほら…言わんこっちゃない。
…俺、エコバックもう一つありますから。」
長船はそう言って、
ささっと早弥の荷物をわけ、
牛乳と酢と上白糖をもってくれた。
「…無理すると腰いためますよ。」
心ならずも一緒にマンションまで戻り、
長船は戸口に荷物を袋ごと置いていった。
「…上がり込んだらご迷惑でしょ。
エコバック、あとで
郵便受けにでも突っ込んどいてください。」
…長船は早弥にとっては
気持ちのよい相手ではなかった。
だが、躾のいい紳士的な男子であることは
たしかだった。
正直、早弥は、
どうして金持ちだというだけで
こんなに長船に反感を感じるのかわからなかった。
長船は早弥にいつも
親切にフレンドリーに接してくれるし、
多分加也の言うとおり、
早弥のことをちっとも嫌っていなかった。
だが早弥はどうしても長船が好きになれなかった。
会うたびに、
警戒心で全身の毛が逆立つような気さえした。
それからというもの、長船は、
まるで友達にでもなったかのように
スーパーやら道端やらで
早弥に声をかけてくるようになった。
「買い物、いつも草壁さんがしているんですね。
居候だから?」
「…志藤は少し加減が悪いんです、すぐ疲れてしまうので。
だから僕が。」
早弥はいつも
なるべく素っ気なく応えることにしていた。
「ご病気ですか。」
「…関係ないでしょ。」
「少し荷物持ちますよ。重いでしょう。」
「結構です。こんなものどうってことは…うっ…」
買い物荷物には、おかずのほかに、
酢のびんと味噌としょうゆとみりんと
牛乳と上白糖とが同時に入っていて、
あまりたくましいほうでない早弥には確かに重かった。
「ほら…言わんこっちゃない。
…俺、エコバックもう一つありますから。」
長船はそう言って、
ささっと早弥の荷物をわけ、
牛乳と酢と上白糖をもってくれた。
「…無理すると腰いためますよ。」
心ならずも一緒にマンションまで戻り、
長船は戸口に荷物を袋ごと置いていった。
「…上がり込んだらご迷惑でしょ。
エコバック、あとで
郵便受けにでも突っ込んどいてください。」
…長船は早弥にとっては
気持ちのよい相手ではなかった。
だが、躾のいい紳士的な男子であることは
たしかだった。
正直、早弥は、
どうして金持ちだというだけで
こんなに長船に反感を感じるのかわからなかった。
長船は早弥にいつも
親切にフレンドリーに接してくれるし、
多分加也の言うとおり、
早弥のことをちっとも嫌っていなかった。
だが早弥はどうしても長船が好きになれなかった。
会うたびに、
警戒心で全身の毛が逆立つような気さえした。
更新日:2012-02-05 20:20:58