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主要メンバー集合!

 屋上から出た千春と勇は、二人並んで三年生の廊下歩いていた。教室をちらっと覗いて見ると、三年生は部活動などもあり、教室にいる生徒は極少数だ。
 教室に残っている三年生は、ノートや問題集を開いて黙々と勉学に勤しんでいるようだった。
 しかしそれでも、千春とあのミニ番が一緒に歩いているという光景は、れだけで彼等に勉強を中断させるほどの衝撃を与えた。
「おい!ミニ番が廊下にいるぞ?」「なんで三年の廊下にいるの?」「殴り込みか!?」「つーかミニ番の隣にいる女子は誰だ?学ランなんか着てるけど……男装してんのか?」
 二人の耳にまで聞こえてくる話し声。
 まあミニ番が誰かと一緒にいるなんて今まで誰も聞いたことがないのだから、当然と言えば当然だった。
 いつも感じる周りからの視線に勇はピクッと肩が震えた。つまりビビっているのだ。
 勇の対人能力値は、瀕死の一歩手前になるまでスライム如きの弱さである。したがって勇は、こういう好奇の目にさらされるのが一番苦手である。
 しかし、この状況に憤りを感じているのは、意外にも千春の方だった。
 千春は声が下方をギロリと睨むと、
「……誰だ、最後に男装とかぬかした糞野郎は……!」
 と言い放った。眉間に洗濯鋏でも挟んだような深いシワを刻んでいる千春。明らかに半ギレだった。
「ちょっと!相手は仮にも上級生、拳握るのはやめなさいよ!」
 そんな千春を慌てて宥める勇。
「上級生?ハッ!俺を男装女扱いする奴は、例え神様だってぶち殺してやる………!」
「………どっかで聞いたことある台詞ね」
 勇は呆れた眼差しを千春に向けた。
「まあこうして見ると、あいつらがお前を女扱いするのもわかる気がするわ」
「わかるなよ。つーかお前もあいつらと同じなのか?俺に男装女ってレッテルを貼るのかよ」
 千春は少し傷ついたような声を出す。だが、勇はそれを見てなんとも嫌そうに顔を歪ませた。
「うわっ!被害妄想ウザ!一片死んだ方がいいんじゃない?つか死ねよ」
「………お前はほんとに酷いこと言うなぁ」
 嗚呼………泣きそうだ。コイツは物言いの加減を知らないというか、加減すらしてくれないのだ。
 ガックリとうなだれる千春に対して、勇はご立腹だった。ミニ番の本性とも言える、獅子の如き鋭い眼光が千春の情けないない姿を照らしている。
「ったくお前は………まずはその被害妄想を変えないと、周りの評価は変わらない」
「へ〜い。ところで、お前もその目はやめた方がいいぞ。周り見てみろよ」
 千春はなんだか勇を哀れむような表情で、後ろを指指した。
「ふぇ?」
 勇は振り向いた先には、なんと教室中の生徒がガタガタと体を震わせながらこちらを見ていたのだ。
 ミニ番の影響力は並ではなかった。千春はそれを改めて知った。

更新日:2012-02-07 12:29:53

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