「・・・阿良田さん。」

その一声が二人の間の静寂を破った。

「なんや・・・？」

「俺は・・・もっと強くなりたい・・・。この手で・・・羽川を取り戻したい・・・。」

それは懇願なのか・・・そうではないのか判別するには時間が要する。
しかしその話をしてくれるのを待っていましたと言わんばかりの反応を示した。

「・・・待っとったで。あんさんからそのワードが出ることを。」

「え？」

「こっちへきなはれ。」

阿良田は翼を連れて、校長室へ向かった。

「１年やからバイクの講習はやっとるよな？」

「ここでですよね？とりあえずは・・・。」

なぜバイク？

その疑問が翼の頭の中を巡り続ける。

その質問を最後に二人は沈黙した。

校長室にたどり着くと阿良田はノックする。

コンコン。

「入れ。」

ガチャっ。

「どうした・・・阿良田・・・、そうか腹を決めたか。」

「そのようやで。どないいたします？校長。」

「城木君、少し外へ行こう。」

完全にふるまわされているがそのままついていく。

すると外にはバイクが２台・・・それも噂に聞く有名なものだった。

そう・・・D-ホイールだ。

「これに乗ってもらおう。」

「え？これって・・・」

「そう。D-ホイールだ。バイクの免許は持っているはずだね？必修科目として取り入れてあるのだから。」

もちろん、その講習は受け免許も持っている。

「なに、普通のバイクと変わらないよ。早くしなければ君は羽川を助けれないだけだ。」

そう言い放つと翼はバイクに乗る。

「いいね？デッキをホルダーにセットして私についてくるんだ。」

バイクを走らせ始める。

それについていくように翼も走らせる。

「ふむ、運動神経は中々だ！もっとスピードを上げるぞ！」

スピードメーターは１００km/h。

そうして３０分くらいひたすらバイクを走らせ、休憩をはさむ。