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謎を解け
とりあえず、前田は考えた。
「もし本当に記憶喪失なら、誰が分かって誰が分からないのかはっきりさせるべきじゃない?」
高橋が、ある一定の過去まで記憶を無くしているのか、それとも部分的に記憶を無くしているのか、それを明白にしたかった。
「確かに、それは大事だ」
そう言って頷く篠田と共に、高橋の前にメンバーを並ばせる。
「ほら、たかみな。誰を知ってて、誰を知らないのかちゃんと見て」
高橋はズラッと並んだメンバー1人1人の顔をよく見た。
「うーん、分からない」
後輩が恥ずかしがって直視できないほど高橋は顔を近づけてよく見ていた。
だが、記憶に無いものは、無い。
結局ほとんどのメンバーのことが分からないという結果になった。
「あと、みいちゃん、なっちゃんでしょ。やっぱ皆雰囲気変わってるよなあ」
そして最後に高橋が認知できたメンバーは板野友美。
「あれ? ともちん……顔変わった?」
「なっ……!」
それは言ったらあかんやろ。
板野を除く全員が心の中で高橋を突っ込んだ。
板野が高橋に飛びかかろうとする。
他のメンバーは必死に抑える。
「こいよ! たかみなあ!」
「ちょっとともちん抑えて抑えて。記憶喪失なんだから。多分」
前田敦子、小嶋陽菜、峯岸みなみ、平嶋夏海、板野友美。
高橋が何度見直しても他に名前が出てきたメンバーはいなかった。
「このメンバー……これは完全に今残ってる初期メンバーってことだよね?」
自分と一緒に並んだ同期4人を見て、峯岸みなみが冷静に分析する。
「確かに、全員1期生だ」
大島は忘れられていたのが自分だけではなかったのを見て、少し安心したような表情だった。
「私が入る前ってなるとかなり初期だよね」
1.5期生とも言われる篠田麻里子も高橋は覚えていなかった。
「たかみなのおかしな言動……覚えていた初期メンバー……そして雰囲気の違う見た目」
突然峯岸が歩きながら、たっぷりと語りだした。
「え? みいちゃん急にどうした?」
不思議そうな目で見る前田を小嶋が止めた。
「水差しちゃだめだよ。なんか変なスイッチ入ってるから」
そんな周りの声を気にせず峯岸の言葉は続く。
「この3つのキーワードから導き出される答えは一つ」
峯岸の人差し指がピンと天井を向く。
これを聞く全員が息をのんだ。
「つまり……たかみなの記憶は今AKBが出来たばっかり、5年前の第1期生しかいない時まで退行している!」
その言葉に楽屋全体がざわめいた。
「そんなことって……あり得るの……?」
メンバー誰一人として驚きを隠せるものはいなかった。
まさかこんな身近に記憶喪失になる人が現れるとは思ってもみない。
「信じられないけど、事実たかみなの記憶はそうなってる」
峯岸は、ポカンと口を開けてその会話を聞いている高橋の目をまっすぐ見て聞いた。
「たかみな、今、何年の何月か。分かる?」
落ち着いた口調で、ゆっくりと問いかける。
「それくらい分かってるよ! 今は2005年12月……」
「ホントに真面目に言ってるんだよね? ボケてるつもりならもうすべってるから止めた方がいいよ」
「ちょっとまてーい、誰がボケてるだ!」
「ほら……やっぱり……」
高橋を除く全員が深刻な表情になっていた。
たかみなは記憶喪失に違いない、と。
「もし本当に記憶喪失なら、誰が分かって誰が分からないのかはっきりさせるべきじゃない?」
高橋が、ある一定の過去まで記憶を無くしているのか、それとも部分的に記憶を無くしているのか、それを明白にしたかった。
「確かに、それは大事だ」
そう言って頷く篠田と共に、高橋の前にメンバーを並ばせる。
「ほら、たかみな。誰を知ってて、誰を知らないのかちゃんと見て」
高橋はズラッと並んだメンバー1人1人の顔をよく見た。
「うーん、分からない」
後輩が恥ずかしがって直視できないほど高橋は顔を近づけてよく見ていた。
だが、記憶に無いものは、無い。
結局ほとんどのメンバーのことが分からないという結果になった。
「あと、みいちゃん、なっちゃんでしょ。やっぱ皆雰囲気変わってるよなあ」
そして最後に高橋が認知できたメンバーは板野友美。
「あれ? ともちん……顔変わった?」
「なっ……!」
それは言ったらあかんやろ。
板野を除く全員が心の中で高橋を突っ込んだ。
板野が高橋に飛びかかろうとする。
他のメンバーは必死に抑える。
「こいよ! たかみなあ!」
「ちょっとともちん抑えて抑えて。記憶喪失なんだから。多分」
前田敦子、小嶋陽菜、峯岸みなみ、平嶋夏海、板野友美。
高橋が何度見直しても他に名前が出てきたメンバーはいなかった。
「このメンバー……これは完全に今残ってる初期メンバーってことだよね?」
自分と一緒に並んだ同期4人を見て、峯岸みなみが冷静に分析する。
「確かに、全員1期生だ」
大島は忘れられていたのが自分だけではなかったのを見て、少し安心したような表情だった。
「私が入る前ってなるとかなり初期だよね」
1.5期生とも言われる篠田麻里子も高橋は覚えていなかった。
「たかみなのおかしな言動……覚えていた初期メンバー……そして雰囲気の違う見た目」
突然峯岸が歩きながら、たっぷりと語りだした。
「え? みいちゃん急にどうした?」
不思議そうな目で見る前田を小嶋が止めた。
「水差しちゃだめだよ。なんか変なスイッチ入ってるから」
そんな周りの声を気にせず峯岸の言葉は続く。
「この3つのキーワードから導き出される答えは一つ」
峯岸の人差し指がピンと天井を向く。
これを聞く全員が息をのんだ。
「つまり……たかみなの記憶は今AKBが出来たばっかり、5年前の第1期生しかいない時まで退行している!」
その言葉に楽屋全体がざわめいた。
「そんなことって……あり得るの……?」
メンバー誰一人として驚きを隠せるものはいなかった。
まさかこんな身近に記憶喪失になる人が現れるとは思ってもみない。
「信じられないけど、事実たかみなの記憶はそうなってる」
峯岸は、ポカンと口を開けてその会話を聞いている高橋の目をまっすぐ見て聞いた。
「たかみな、今、何年の何月か。分かる?」
落ち着いた口調で、ゆっくりと問いかける。
「それくらい分かってるよ! 今は2005年12月……」
「ホントに真面目に言ってるんだよね? ボケてるつもりならもうすべってるから止めた方がいいよ」
「ちょっとまてーい、誰がボケてるだ!」
「ほら……やっぱり……」
高橋を除く全員が深刻な表情になっていた。
たかみなは記憶喪失に違いない、と。
更新日:2011-12-17 02:51:33