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「たかみな……落ち着いて聞いて。今は2011年5月。2005年はとっくに過ぎ去ってる」
近くにあったカレンダーを指さしながら峯岸が説明する。
「2011年? どういうこと?」
「たかみなは今記憶を無くしてる。5年前までの記憶しか覚えていないんだ」
「そんな嘘でしょ……これは夢じゃないの?」
「夢じゃない。現実」
「現実……今は2011年」
普通であれば、簡単に受け入れられる事実ではない。
確かに、もはやこれは夢ではない、と感じている自分もいたが、それでも信じられない。
「記憶喪失なんだよ」
「記憶喪失……私が……?」
記憶が丸ごと無いのだから自覚しようもない。
本当に覚えていない。なんにも。
喪失しているらしい、5年間を。
「……ああ! だから!」
高橋の中で全てがつながる。
さっきからずっと思っていた疑問も解決する。
「だから、皆の雰囲気が違うんだ! 年齢だ! 私が覚えている頃より5年も時が経ってるんだもんね」
高橋が覚えている峯岸や前田は中学生だ。小嶋は高校生。
「なるほど……『なんか変わった』ってのは年齢だったのか」
「つまり……みいちゃんはもう高校卒業してんの!?」
「そうだよ」
「中学卒業も知らないのに……ってことはあっちゃんは……!」
「今年でハタチ」
「うわあ、すっげえ大人じゃん!」
この会話を聞いて、不意に前田の頭にピンッと何かがやって来る。
まだ1つおかしいことがあった。
謎は解けていない。
「まあこれで問題解決にはなってないけど、謎は解けたね」
峯岸は自分で謎が解けてご満悦である。
見た目は大人だが、素顔は子供だ。
「決め台詞言っちゃおうか。……真実は、いつもひとt」
「ちょっと待って」
前田が割って入る。
「ええーここで割って入りますか、前田さん」
峯岸のたれ目がもっとたれ目になった。
「みいちゃん、まだ謎は解けてないよ。3つ目のキーワード使ってないんじゃない?」
「3つ目?」
「たかみなの見た目もおかしいってこと」
「確かに……たかみなから見て私たちが大人に見えるのは分かるけど、なんでだ?」
「多分理由は一つ」
「あっちゃん分かるの?」
「ホントに信じられない考えなんだけどさ……」
「なになに、言ってみそ」
「このたかみなは……身体も2005年なんじゃないかな」
「うえ!? マジ?」
前田の発言によって明かされた衝撃の事実。
目の前にいる高橋は記憶だけでなく身体も2005年の高橋みなみであるということ。
「そういうことなのかな……た、確かに中学生のたかみなに見える」
峯岸はもう一度高橋の顔を見る。
確かに自分の知る高橋よりは幼く見えた。
「やっぱそうでしょ?」
前田の問いに峯岸は頷く。
「信じられないけど、そうだと思う。このたかみなは2005年のたかみな」
そう言って少し考える。
「……でもさ……そうなると……」
「ん? そうなると?」
この事実が明かされたことによって峯岸は1つの考えに至っていた。
そして解決すべき問題の大きさに気づき声を荒げる。
「やばいよ! ただ記憶が2005年になっちゃうのと身体も2005年になっちゃったのでは大違いだよ!」
「というと?」
前田はまだ峯岸の言わんとしてることが分からなかった。
「タイムスリップだよ! たかみなは身体ごと2005年から時を超えてきたということになる」
「ああ、タイムスリップね……って、ええええええええ!」
近くにあったカレンダーを指さしながら峯岸が説明する。
「2011年? どういうこと?」
「たかみなは今記憶を無くしてる。5年前までの記憶しか覚えていないんだ」
「そんな嘘でしょ……これは夢じゃないの?」
「夢じゃない。現実」
「現実……今は2011年」
普通であれば、簡単に受け入れられる事実ではない。
確かに、もはやこれは夢ではない、と感じている自分もいたが、それでも信じられない。
「記憶喪失なんだよ」
「記憶喪失……私が……?」
記憶が丸ごと無いのだから自覚しようもない。
本当に覚えていない。なんにも。
喪失しているらしい、5年間を。
「……ああ! だから!」
高橋の中で全てがつながる。
さっきからずっと思っていた疑問も解決する。
「だから、皆の雰囲気が違うんだ! 年齢だ! 私が覚えている頃より5年も時が経ってるんだもんね」
高橋が覚えている峯岸や前田は中学生だ。小嶋は高校生。
「なるほど……『なんか変わった』ってのは年齢だったのか」
「つまり……みいちゃんはもう高校卒業してんの!?」
「そうだよ」
「中学卒業も知らないのに……ってことはあっちゃんは……!」
「今年でハタチ」
「うわあ、すっげえ大人じゃん!」
この会話を聞いて、不意に前田の頭にピンッと何かがやって来る。
まだ1つおかしいことがあった。
謎は解けていない。
「まあこれで問題解決にはなってないけど、謎は解けたね」
峯岸は自分で謎が解けてご満悦である。
見た目は大人だが、素顔は子供だ。
「決め台詞言っちゃおうか。……真実は、いつもひとt」
「ちょっと待って」
前田が割って入る。
「ええーここで割って入りますか、前田さん」
峯岸のたれ目がもっとたれ目になった。
「みいちゃん、まだ謎は解けてないよ。3つ目のキーワード使ってないんじゃない?」
「3つ目?」
「たかみなの見た目もおかしいってこと」
「確かに……たかみなから見て私たちが大人に見えるのは分かるけど、なんでだ?」
「多分理由は一つ」
「あっちゃん分かるの?」
「ホントに信じられない考えなんだけどさ……」
「なになに、言ってみそ」
「このたかみなは……身体も2005年なんじゃないかな」
「うえ!? マジ?」
前田の発言によって明かされた衝撃の事実。
目の前にいる高橋は記憶だけでなく身体も2005年の高橋みなみであるということ。
「そういうことなのかな……た、確かに中学生のたかみなに見える」
峯岸はもう一度高橋の顔を見る。
確かに自分の知る高橋よりは幼く見えた。
「やっぱそうでしょ?」
前田の問いに峯岸は頷く。
「信じられないけど、そうだと思う。このたかみなは2005年のたかみな」
そう言って少し考える。
「……でもさ……そうなると……」
「ん? そうなると?」
この事実が明かされたことによって峯岸は1つの考えに至っていた。
そして解決すべき問題の大きさに気づき声を荒げる。
「やばいよ! ただ記憶が2005年になっちゃうのと身体も2005年になっちゃったのでは大違いだよ!」
「というと?」
前田はまだ峯岸の言わんとしてることが分からなかった。
「タイムスリップだよ! たかみなは身体ごと2005年から時を超えてきたということになる」
「ああ、タイムスリップね……って、ええええええええ!」
更新日:2011-12-17 02:51:51