- 42 / 50 ページ
はるニャン
「勇人君~~~、またね~~~」
廊下で琴音と別れ、俺はA組の教室に向かった。
教室には毎度のことだがみはるの姿がある。こいつは誰よりも早く教室に来ることを誇りに思っているらしい。
「今日も早いな」
鞄を机に置きながら軽く声をかける。
「おはようニャン!」元気良くみはるが叫んだ。
「……」ん?
「どうかしたのかニャ?」
その言葉、変な語尾以外お前にそっくりそのまま返すぞ。
「やれやれ」
俺はとりあえず椅子に座った。できる限りみはると離れたいが、俺の席は残念なことにみはるの隣なのだ。あー席替えしたい。
「あたしね、今日一日猫になるニャン」
みはるは意味不明の宣言をした。学校征服宣言と同じぐらい意味不明な宣言だ。
「……」
「はるニャンって呼んでニャン」
「……」
じーっと俺を見つめるみはる。いや、猫なのか?
「ニャにか言えっ!」
「ぐわっ!」
バリバリと顔を引っかかれた。
「と、特に感想は無い! どうせお前は何を言われても怒るしな!」
くそっ、本気で爪を立てやがって……。
「つくづくつまらない男だニャ。死ぬがいいニャ」
みはるは立ち上がった。あ、ちょっとだけ猫背になってる。よくわからないけど芸が細かいな。
「みのりーん。一緒に遊ぼうニャン」
あ、小野さんが捕まった。気の毒なことだ。
「ど、どうしたの、真殿さん? ついに頭がおかしくなった?」
小野さんは戸惑いの表情を浮かべた。
「ニャンてことぬかすっ! この貧乳!」
猫だから何か上手いことを言うのかと思ったら、毎度おなじみの暴言かよ。
「う、うるさい! 貧乳って言うな! それにニャンとかムカつくし!」
「あたしが可愛いからって妬くニャ妬くニャ」
「そ、それがムカつくのっ! ニャンとか言うなっ!」
「だって猫だもん、仕方ないニャーン」
「しっしっ! あっち行け!」
小野さんはみはるを追い払った。
「あ、みく! ニャンニャン!」
長谷部が教室にやってきたので、小野さんは命拾いをしたな。
みはるは長谷部に駆け寄った。いつもより敏捷性も増していてかなりウザイ。
「みくっ! おはようニャン」
みはるは長谷部の前にぴょんと飛んだ。
「……」長谷部は当然無視。
「おいっ! ニャンで無視するニャ?」
「……うるさい」
長谷部は窓際の自分の席に座った。
みはるはしつこく長谷部を追っていく。
「あたしはね、今日一日猫になるニャ」
「よかったね」
「ニャン!」猫っぽいポーズをするみはる。
「わたしには一切関係ない」
当然だが長谷部は物凄く迷惑そうだ。
「みくは兎に似てるから、兎になるといいニャ!」
みはるは長谷部の怒りに油を注いだ。
「よし、みくピョン! 一緒に決めポーズするニャン。せーの……」
ぺちっ!
長谷部はみはるの頬をひっぱたいた。
「あっち行け、馬鹿猫」
「ニ、ニャンということを……!」
みはるは叩かれた頬を押さえてブルブルと身を震わせた。
「絶対に許さニャいっ!」
あ、普通に喧嘩が始まったぞ。猫と兎の喧嘩が……。
「二時間目は物理か。つくづくやってらんないわね……」
一時間目終了後、みはるが苦々しく呟く。
「ん?」
今こいつ普通に喋ったよな?
「何よ? アホ面してこっち見てんじゃないわよ。殴られたいの?」
「……」
俺は無言で次の授業の準備をした。
なるほど。
飽きたんだな。
みんなからのウケもよくなかったし……。
まあ、小野さんならともかく、みはるが猫真似しても、誰得って感じだよな。
嫉妬じゃないっ! に続く。
廊下で琴音と別れ、俺はA組の教室に向かった。
教室には毎度のことだがみはるの姿がある。こいつは誰よりも早く教室に来ることを誇りに思っているらしい。
「今日も早いな」
鞄を机に置きながら軽く声をかける。
「おはようニャン!」元気良くみはるが叫んだ。
「……」ん?
「どうかしたのかニャ?」
その言葉、変な語尾以外お前にそっくりそのまま返すぞ。
「やれやれ」
俺はとりあえず椅子に座った。できる限りみはると離れたいが、俺の席は残念なことにみはるの隣なのだ。あー席替えしたい。
「あたしね、今日一日猫になるニャン」
みはるは意味不明の宣言をした。学校征服宣言と同じぐらい意味不明な宣言だ。
「……」
「はるニャンって呼んでニャン」
「……」
じーっと俺を見つめるみはる。いや、猫なのか?
「ニャにか言えっ!」
「ぐわっ!」
バリバリと顔を引っかかれた。
「と、特に感想は無い! どうせお前は何を言われても怒るしな!」
くそっ、本気で爪を立てやがって……。
「つくづくつまらない男だニャ。死ぬがいいニャ」
みはるは立ち上がった。あ、ちょっとだけ猫背になってる。よくわからないけど芸が細かいな。
「みのりーん。一緒に遊ぼうニャン」
あ、小野さんが捕まった。気の毒なことだ。
「ど、どうしたの、真殿さん? ついに頭がおかしくなった?」
小野さんは戸惑いの表情を浮かべた。
「ニャンてことぬかすっ! この貧乳!」
猫だから何か上手いことを言うのかと思ったら、毎度おなじみの暴言かよ。
「う、うるさい! 貧乳って言うな! それにニャンとかムカつくし!」
「あたしが可愛いからって妬くニャ妬くニャ」
「そ、それがムカつくのっ! ニャンとか言うなっ!」
「だって猫だもん、仕方ないニャーン」
「しっしっ! あっち行け!」
小野さんはみはるを追い払った。
「あ、みく! ニャンニャン!」
長谷部が教室にやってきたので、小野さんは命拾いをしたな。
みはるは長谷部に駆け寄った。いつもより敏捷性も増していてかなりウザイ。
「みくっ! おはようニャン」
みはるは長谷部の前にぴょんと飛んだ。
「……」長谷部は当然無視。
「おいっ! ニャンで無視するニャ?」
「……うるさい」
長谷部は窓際の自分の席に座った。
みはるはしつこく長谷部を追っていく。
「あたしはね、今日一日猫になるニャ」
「よかったね」
「ニャン!」猫っぽいポーズをするみはる。
「わたしには一切関係ない」
当然だが長谷部は物凄く迷惑そうだ。
「みくは兎に似てるから、兎になるといいニャ!」
みはるは長谷部の怒りに油を注いだ。
「よし、みくピョン! 一緒に決めポーズするニャン。せーの……」
ぺちっ!
長谷部はみはるの頬をひっぱたいた。
「あっち行け、馬鹿猫」
「ニ、ニャンということを……!」
みはるは叩かれた頬を押さえてブルブルと身を震わせた。
「絶対に許さニャいっ!」
あ、普通に喧嘩が始まったぞ。猫と兎の喧嘩が……。
「二時間目は物理か。つくづくやってらんないわね……」
一時間目終了後、みはるが苦々しく呟く。
「ん?」
今こいつ普通に喋ったよな?
「何よ? アホ面してこっち見てんじゃないわよ。殴られたいの?」
「……」
俺は無言で次の授業の準備をした。
なるほど。
飽きたんだな。
みんなからのウケもよくなかったし……。
まあ、小野さんならともかく、みはるが猫真似しても、誰得って感じだよな。
嫉妬じゃないっ! に続く。
更新日:2011-12-31 07:48:43