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扉を叩く音がして、秘書が二つのコーヒーを持ち、中に入ってきた。
結衣と誠一郎の前にカップを置くと、すぐに出て行ってしまう。
「安西さんは、『ERGORA』の社員として、
高級化粧品を売るのならいいかもしれない。
でも、単価の安い商品を、売り込む営業には向いてませんね。
あの態度じゃ、相手を怒らせるか、呆れさせるかどちらかです」
結衣は、誠一郎の話を聞きながら、
思っていたよりも厳しい状況ではなかったことに、ほっとした。
するとじわじわと目に涙が浮かびだし、慌てて下を向く。
「……橋本さん?」
「あ……すみません、私……あの……なんだかほっとしてしまって
力が抜けました」
「力が?」
「はい。契約が白紙かもしれないと聞かされて、会社を飛び出してきたはきましたが、
でも、自分では何も解決策は浮かんでいませんでした。
それでも、『BOND』のプレゼンを助けてくれた、仲間の顔が浮かんで……」
こんなことで、気持ちをふらつかせてはならないと思いながらも、
結衣は言葉が出せなくなる。
「そこまで追い込むつもりはなかったんですよ、僕は……」
「いえ……違うんです、いいんです。私、しっかりしないとって、
あらためてそう思ったので。ありがとうございました、
なんとしてもこの仕事頑張ります。二度と、誰かに渡すなんてことはしません。
『フワロン』にも、『BOND』にも、大きなプラスになるように」
結衣と誠一郎の前にカップを置くと、すぐに出て行ってしまう。
「安西さんは、『ERGORA』の社員として、
高級化粧品を売るのならいいかもしれない。
でも、単価の安い商品を、売り込む営業には向いてませんね。
あの態度じゃ、相手を怒らせるか、呆れさせるかどちらかです」
結衣は、誠一郎の話を聞きながら、
思っていたよりも厳しい状況ではなかったことに、ほっとした。
するとじわじわと目に涙が浮かびだし、慌てて下を向く。
「……橋本さん?」
「あ……すみません、私……あの……なんだかほっとしてしまって
力が抜けました」
「力が?」
「はい。契約が白紙かもしれないと聞かされて、会社を飛び出してきたはきましたが、
でも、自分では何も解決策は浮かんでいませんでした。
それでも、『BOND』のプレゼンを助けてくれた、仲間の顔が浮かんで……」
こんなことで、気持ちをふらつかせてはならないと思いながらも、
結衣は言葉が出せなくなる。
「そこまで追い込むつもりはなかったんですよ、僕は……」
「いえ……違うんです、いいんです。私、しっかりしないとって、
あらためてそう思ったので。ありがとうございました、
なんとしてもこの仕事頑張ります。二度と、誰かに渡すなんてことはしません。
『フワロン』にも、『BOND』にも、大きなプラスになるように」
更新日:2011-12-27 21:17:43