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食事が出来なくても、朝を一緒に迎えられなくても、

とりあえず顔が見られるのだと思い、ほっとする。

結衣は、必ず行きますと言いながら、ジーンとなった鼻を押さえ、

明日は楽しみだと、弾む声を出した。





そして、出張当日。

結衣は、通勤ラッシュ前の電車に乗り込み、

指定された飛行機のチケットを取り出した。

『ERGORA』の東京支社から、本社へ向かう人たちの集団がすでに出来ていたが、

特に知ってる顔もないため隅の方に立っていると、

何も持たない創が、少し遅れ気味に姿を見せた。


「平田さん、荷物ないんですか?」

「ないっすよ、俺、家に戻るから」

「……あ、そうか……」


創は結衣の持っていたビニール袋から、小さなお菓子をそっと抜き取った。

結衣は両手に荷物を持っていたため、それに気づいたが、止めることが出来ない。


「いただき」

「あ、ダメです。それ、今朝買って来たのに!」

更新日:2011-12-07 19:39:04

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