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結衣から連絡をもらったとき、すぐにチームの予定を確認し、

何もないから大丈夫だと思った外出なのに、

全体ミーティングが入ってしまっては、抜けるわけにはいかなくなる。


「愛、急にミーティングってどういうことだ」

「……どうもこうもないけど、ミーティングが入った、それだけのことです」

「今朝まで、そんな話はなかったはずだ。全体ミーティングなら、
リーグ戦の様子を見ながら、監督が決めるって、この間……」

「監督が決めたの。今こそ全体を引き締めた方がいいって、そういうことになった。
予定なんて急に変わること、色々とあるでしょ。それとも……」


愛はずっと見ていた書類から顔を上げ、事務局の前に立つ太郎の方を見る。


「明日、外出しないとならない用事でも、太郎にあるってこと?」


太郎は愛から視線をそらし、一瞬困った顔を見せた。

太郎が結衣に会いたいのだという気持ちが伝わり、

愛はデスクに置いた名簿を、思い切り破り捨てる。


「合宿所付きのコーチになる条件を、承諾したのは太郎でしょ。
まだ、1ヶ月もたたないのに、勝手な行動は許されないわ」


そう強く言い切った愛だったが、太郎の顔を見ていることが出来なくなり、

そのまま扉を開けると、事務室を出て行った。

更新日:2011-12-05 14:08:59

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