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16 仲間の話
その場にいた社員や、当人たちに緘口令を敷いても、
隙間に存在する人間から、事件のことはじわりと明らかになり始めた。
創が『第3営業部』に姿を見せなくなり5日が経つ頃には、
瑠衣も噂だと無視できなくなる。
「大山部長」
「いいから、君は仕事をしなさい」
「教えてください。噂になっていることは本当なんですか?
平田君は『第3営業部』を辞めたんですか? それは……」
「違う。彼が神戸へ戻ったのは、社長の命令だ」
「でも……」
「川上さん、今月の報告書がまだ未提出ですよ。
人のことを気にしていないで、まず自分のことをきちんとしてください」
大山が真実を隠している様子が見て取れ、瑠衣は創が噂どおり菊間のところへ行き、
自分のために行動を起こしたのだと、そう考えた。
瑠衣は、自分から決して連絡を取らなかった菊間の携帯を鳴らしてみるが、
何度鳴らしても出てこない。
瑠衣が創のことを大山に問いただしていた頃、
結衣は大山から創の残した仕事を振られ、その資料整理に格闘していた。
創はいつも遅刻ギリギリに出社し、
結衣にはほとんど仕事らしいことをしているように見えなかったが、
残っている資料はしっかりとまとめられ、
取引先とのコミュニケーションもうまく行っているように見えた。
隙間に存在する人間から、事件のことはじわりと明らかになり始めた。
創が『第3営業部』に姿を見せなくなり5日が経つ頃には、
瑠衣も噂だと無視できなくなる。
「大山部長」
「いいから、君は仕事をしなさい」
「教えてください。噂になっていることは本当なんですか?
平田君は『第3営業部』を辞めたんですか? それは……」
「違う。彼が神戸へ戻ったのは、社長の命令だ」
「でも……」
「川上さん、今月の報告書がまだ未提出ですよ。
人のことを気にしていないで、まず自分のことをきちんとしてください」
大山が真実を隠している様子が見て取れ、瑠衣は創が噂どおり菊間のところへ行き、
自分のために行動を起こしたのだと、そう考えた。
瑠衣は、自分から決して連絡を取らなかった菊間の携帯を鳴らしてみるが、
何度鳴らしても出てこない。
瑠衣が創のことを大山に問いただしていた頃、
結衣は大山から創の残した仕事を振られ、その資料整理に格闘していた。
創はいつも遅刻ギリギリに出社し、
結衣にはほとんど仕事らしいことをしているように見えなかったが、
残っている資料はしっかりとまとめられ、
取引先とのコミュニケーションもうまく行っているように見えた。
更新日:2012-02-28 22:34:22