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結衣のあまりにも素朴な質問に、瑠衣は動かしている箸を止めた。


「認識? そりゃわかっているでしょう。毎日席にいるんだよ、
しかも結衣は『BOND』を握っているんだもの、わからないわけがないじゃないの」

「うーん……でも『地域営業部』に比べて、部屋の広さも広いし、人は多いでしょ。
他の人達のように何か動き出さないから、ちょっと心配で……。
もしかしたら、忘れられているんじゃないかなとか」

「……うーん」


瑠衣も多少何かを感じているのか、それ以上強気の言葉が出ることはなく、

二人はランチを食べ終えると、店の外へ出た。

半地下の店から階段を上がっていくと、すでに雨が降り出していて、

あちこちで歩けなくなっているOLが並んでいる。


「うわぁ……すごいな、これ。ちょっと待たないとダメだわ」

「そうだね、このまま出て行ったら濡れちゃう」


結衣は財布を頭に乗せ、必死に走るOLたちを見ながら、携帯で時間を確認した。

昼休み終了までは、あと15分残っている。


「ねぇ、葛西さんどうしてるって?」

「どうしてるって? サッカー部で頑張っているって、電話をくれるけど」

「そう……そうか、そうだよね。今はリーグ戦だし、『ERGORA』も」

「あ、そうなんだ」

更新日:2011-11-25 20:34:33

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