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小説

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2 出張の話

結衣は創の背中を見ながら受付の前を通り、『BOND』の玄関を出た。

ここへ来るまで、そして来てからも、失礼な態度を取っていた創だったが、

鳥谷の前に出た途端表情が変わり、結衣から見ても完璧な営業部員を演じきった。

鳥谷は、優れた新人が入ったのですねと笑い、

契約通り商品の納入期日が決まったと、書類を差し出した。





「あいつ、本当に社長の息子みたいよ。船橋さんがそう言っていた」

「うん、私もすぐに桐谷さんにメールしたの。
そうしたら東京にいるの? って驚いていた」

「全く、なんなんだろう『ERGORA』って」

「うん……」


瑠衣との恒例の飲み会で、二人の話題は創のことに集中した。

結局、あの後、営業部へ戻り、

仕事が終わるほんの3分前に、大山部長から紹介されることになったが、

創に対し『ERGORA』から来た営業部員は、

誰一人として顔をあわせるようなこともなく、

その異様な雰囲気に困った顔をしたのは、地域営業部組だけだった。


「おそらく、どうしようもなくて、追いやられたんだろうって。
長男は、経営部門の頂点に入るために父親と一緒で、
次男は大好きなサッカー部の管理と、広報部門を任されているらしいの。
で……出がらし?」

「瑠衣、それは……」

更新日:2011-12-01 23:40:03